女王陛下の007 

(ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE )1969

監督 ピーター・ハント  
キャスト ジョージ・レーゼンビー ジェームズ・ボンド(007)
  ダイアナ・リグ トレーシー(テレサ)
  テリー・サバラス ブロフェルド
  ガブリエル・フェルゼッティ ドラコ(トレーシーの父)
  イルゼ・ステパット ブント(ブロフェルドの部下)
  バーナード・フォースフォール 英工作員(ボンドのサポート役)
  アンジェラ・スコーラー ルビー(死の天使 鶏アレルギー)
  キャサリン・シェル 死の天使(ルビーに次いで007と関係)
  ヴァージニア・ノース オリンペ(ドラコの秘書)
  ジョージ・ベイカー ヒラリー卿(系図学者)
  ロイス・マクスウェル⑥ マネーペニー
  バーナード・リー⑥ M
  デスモンド・リュウェリン⑤ Q

ブロフェルドの行方を追う中で美しき未亡人トレーシーと出会ったボンド。

トレーシーの父で犯罪組織のボスであうドラコの強力を得て、ブロフェルドがスイスのアルプスにある研究施設に潜伏している事を突き止める!

 

惹かれ合うボンドとトレーシー

宿敵ブロフェルドとの対決の行方は!?

 

新たなボンド役を迎えた

シリーズ第6弾!

 

(2代目ボンド)

前作で勇退したショーン・コネリーに代わってジョージ・レーゼンビーが大抜擢。

モデルとして活躍し、CM出演などから知名度は高かったようですが、演技経験は一切ありませんでした。

歴代ボンド役最年少(当時29歳)での出演となり、大幅に若返りました。

(見た目は40歳くらいに見えましたが)

細見でシャープなシルエットはカッコいいし、運動神経も良かったようで、アクション・シーンは、ショーン・コネリーよりもキレが良かったです。

(スキーも得意だったそうですが、さすがにスタントが使われています。)

 

また唯一ヨーロッパ出身ではない(オーストラリア出身)ボンド役。

そして、唯一出演が1作のみとなったボンド役者

 

(代替わりの難しさ)

個人的には決して悪くなかったと思うのですが、興行的には振るわなかった作品。ジョージ・レーゼンビーが悪い訳ではなく、シリーズ1作目から鑑賞してきた当時の観客にとっては、初代ショーン・コネリーの絶大な人気や愛着が残っている中で、慣れ親しんだ主演が変る事を受け入れにくい面があったと思います。

創業カリスマ社長の後継は難しいですよねー。

 

60年以上続く長期シリーズとなった今では「ボンドは代替わりするもの」という共通認識ができてますが、当時は「ボンド=ショーン・コネリー」が当たり前の認識だったのでしょう。

 

(長いシリーズ作の中で見れば、ザ 007)

60年、25作に渡り、6人がリレーして演じ続けた超ロング・シリーズ作となった事で、世代を超えて多くの人が楽しむ作品になりました。

それぞれの世代に、それぞれのボンド役がいて、みな良い持ち味を持って演じてきました。

公開当初は異端的な見方もあったかもしれない本作も、多くのシリーズ作品が世に出された今振り返って観ると、派手さやコミカルさだけでなく、スパイの宿命や悲哀を感じさせる007らしい作品だと思います。

 

ボンドのキャラクター

ショーン・コネリー版は比較的表情に変化が少なく、機械的に美女を愛し、ミッションをこなしていく感がありましたが、レーゼンビー版はより感情を表に出すようになってます。

ボンドガールに本気になっていく展開、そして悲劇的なラストが哀愁を誘います。愛と哀しみのドラマが007らしい

 

アクション

格闘アクションはよりスピーディな演出に。

また状況や設定を利用した派手なアクションはより現代風にアップデートされ、007らしさを感じます。(雪山設定を利用したスキー・アクション&雪崩や、ボブスレーを使ったアクションなど)

 

効果的なBGM

随所で007のテーマを上手く使って盛り上げるのは実に007らしいです。

本作の主題歌は歌がないインスト曲ですが、この曲も良かったです。

作曲したジョン・バリーはこれまでの5作品でも音楽を担当してます。

ルイ・アームストロングの歌う挿入歌「We Have All the Time in the World(愛はすべてを超えて)」もジョン・バリーが作曲。

 

(オープニング)

ジョン・バリー作曲のメインテーマ曲がカッコ良かった!

これまでの過去作品を振り返る映像が写されてます。

メインテーマ曲(主題歌)がインストゥなのは1作目の「ドクター・ノオ」と本作だけ。

作中の挿入歌としてサッチモのWe Have All The Time In The World が使われてます。

 

(ボンドガール)

●ダイアナ・リグ(トレーシー役)

イギリス人が選ばれるのは意外と少ない。

演じたトレーシーはなんとボンドと結婚します。

ボンドの結婚がハッキリと描かれているのは本作くらい。

そして死にます。

メインのボンド・ガールが死亡する数少ない作品の一つ

(他は、1999年「ワールド・イズ・ノット・イナフ」、2006年「カジノロワイヤル」)

 

主題歌

On Her Majesty's Secret Service(OP)

インスト曲(作曲:ジョン・バリー)

 
メイン・ボンドガール役 ダイアナ・リグ(英) 死亡
ボンド、ジェームズ・ボンド 言う  
ウォッカマティーニ、シェイク ドラコからシェイクしたマティーニを振舞われるがウォッカ・ベースかは不明  
Qからの装備品 なし  

★★★PICK UP LINES★★★

影の道を歩む者に安息の日々は訪れず・・・・

 

It's all right. 

It's quite all right, really.  She's having a rest.

We'll be going on soon.

There's no hurry, you see.

We have all the time in the world.

 

大丈夫だ。何でもない。休んでいるところだ。すぐに行くよ。

急ぐ必要はないだろう。世界は2人のものなんだから。

 

※最後の一文「We have all the time in the world」はルイ・アームストロングが歌う挿入歌のタイトル。(歌の邦題は「愛はすべてを超えて」)

「時間はいくらでもある」という意味合いです。

この台詞はシリーズ25作目「ノー・タイム・トゥ・ダイ」でも使われます。

 

 

作中でボンド家の紋章が紹介され、そこには The world is not enough (世界でもまだ足りない)というボンド家モットーが書かれていました。

 

ちなみに、ボンド家モットーのThe world is not enough はシリーズ19作目のタイトルになり、作中でボンド家モットーについても触れてます。

そして「ワールド・イズ・ノット・イナフ」は本作同様、メインのボンドガールが死亡する作品となっています。

 

      シリーズ作品    
1 1962年 ドクター・ノオ ショーン・コネリー
2 1963年 ロシアより愛をこめて C ショーン・コネリー
3 1964年 ゴールドフィンガー ショーン・コネリー
4 1965年 サンダーボール作戦 C ショーン・コネリー
5 1967年 007は二度死ぬ ショーン・コネリー
6 1969年 女王陛下の007 B ジョージ・レーゼンビー
7 1971年 ダイヤモンドは永遠に A ショーン・コネリー
8 1973年 死ぬのは奴らだ ロジャー・ムーア
9 1974年 黄金銃を持つ男 C ロジャー・ムーア
10 1977年 私を愛したスパイ ロジャー・ムーア
11 1979年 ムーンレイカー B ロジャー・ムーア
12 1981年 ユア・アイズ・オンリー B  ロジャー・ムーア
13 1983年 オクトパシー D  ロジャー・ムーア
14 1985年 美しき獲物たち   ロジャー・ムーア
15 1987年 リビング・デイライツ   ティモシー・ダルトン
16 1989年 消されたライセンス ティモシー・ダルトン
17 1995年 ゴールデンアイ ピアース・ブロスナン
18 1997年 トゥモロー・ネバー・ダイ ピアース・ブロスナン
19 1999年 ワールド・イズ・ノット・イナフ ピアース・ブロスナン
20 2002年 ダイ・アナザー・デイ   ピアース・ブロスナン
21 2006年 カジノ・ロワイヤル   ダニエル・クレイグ
22 2008年 慰めの報酬   ダニエル・クレイグ
23 2012年 スカイフォール B  ダニエル・クレイグ
24 2015年 スペクター   ダニエル・クレイグ
25 2021年 ノー・タイム・トゥ・ダイ ダニエル・クレイグ