ブレードランナー B

(BLADE RUNNER)1982

監督 リドリー・スコット  
キャスト ハリソン・フォード デッカード
  ルドガー・ハウアー ロイ・バティ(レプリのリーダー)
  ショーン・ヤング レイチェル
  ダリル・ハンナ プリス(レプリ女 ロイの彼女)
  ジョー・ターケル タイレル博士(レプリカント開発者)
  ウィリアム・サンダーソン J・F・セバスチャン(早老症タイレル社技師)
  エドワード・ジェームズ・オルモス

ガフ (意味深な折り紙男)

  M・エメット・ウォルシュ ブライアント(デッカードの上司)
  ブライオン・ジェームズ リオン(レプリのおっさん)
  ジョアンナ・キャシディ ゾーラ(レプリの蛇女)
  ジェームズ・ホン 眼球製造者
  ロバート・オカザキ 屋台のオヤジ
     太字は4人の侵入レプリカント
     印象に残ったキャラたち
     印象に残ったキャラたち

21世紀の初め。

レプリカントと呼ばれる人造人間が開発された。外見では人間と区別がつかないレプリを見極めて、反乱を起こしたレプリを処刑する特殊捜査官ブレード・ランナー。

ブレード・ランナーのデッカードとレプリカントとの戦い・交流を描いた近未来SF。

 

(独特な近未来の世界観)

SF作ですが内容は詩的、情緒的なドラマメインでアクションなど画的に派手なシーンはあまりありません。

奇抜なキャラや独特な世界観。

また、近未来を「明るくクリーンな理想的な世界」ではなく「科学は進んでも汚く荒廃したスラムのような世界」として描いたのは斬新で前衛的だったようです。

いわゆるサイバーパンク系SF映画のはしりですね。

 

街並みに日本語やジャパン・テイストが多く見られたのも印象的でした。

特に巨大なスクリーンに芸者が映る「強力わかもと」は文字通り強力!

(わかもと製薬はスポンサーというわけではなく、勝手に使われていたそうで、当時映画を観た社員さんもビックリしたそうです。)

 

今観てもエキセントリックな印象を受ける作品なので、公開当時に観た方は、いまいち馴染めなかった人も多かったでしょう。

事実公開当初は興行成績はあまり振るわなかったようで、その後に段々と評価・人気が高まり、今ではカルト的な人気を誇る作品です。

 

主演のハリソン・フォードは、1980年「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」、

1981年「レイダース  失われたアーク」(インディ・ジョーンズ・シリーズの1作目)に続いての本作。

ハリソン・フォード主演&SFという事で、観客に「痛快な冒険譚」を期待させてしまったのも興行的失敗の一因かと思います。

 

(近未来の設定年)

本作は2019年という設定です。

現実の2019年は、こんな精巧なアンドロイドはまだ出来ていなし、環境もここまで荒廃はしてないですね。

過去のSF作品で設定された年に現実が追い付いた時、映画の中の世界と現実の世界を比べると面白かもしれません。

私の中で、一番古い近未来設定年は「北斗の拳」の199X年です。

核の炎につつまれる事なく21世紀を迎えられて良かったです。

 

(原作)

原作はフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(Do androids dream of electric sheep?)」

映画では内容が大幅に変わっています。

そもそも原作小説には「レプリカント」や「ブレードランナー」という言葉が出てきません。

「ブレードランナー」というタイトルは、まったく関係ない別のSF小説のタイトルでしたが、監督がその名前を気に入ってタイトルだけ拝借したそうです。

同じくディックの小説が原作の1990年「トータル・リコール」もその退廃的な世界観が本作の影響を強く受けているよう。

 

(見どころ)

●サイバーパンクSFの原型となった世界観。

 

●人とレプリの差とは?

死にたくなくて必死な、レプリカント達が人間臭いんですよねー。

女性レプリたちがデッカードに撃たれて絶命するシーンもやけに生々しく、血を流して倒れる様は機械とは思えず、残酷さが漂ってます。

 

そしてレプリのリーダー、ロイの最後の独白シーンがいいですね~。

本作の一番の見せ場ですね。

なんで途中で服を脱いだのかはわかりませんが、執拗に追ってくる様はターミネーターの原型のようにも思いました。

 

(リドリー・スコット監督とアンドロイド)

1979年の監督作「エイリアン」にも人間そっくりのアンドロイドが登場します。その前日譚シリーズとなる2012年「プロメテウス」や2017年「エイリアン  コヴェナント」ではアンドロイドと人間との関係性もテーマとなってます。

本作や続編の「ブレードランナー 2049」のテーマと通ずるところがあると思います。

 

(好きなところ)

レプリ・フクロウ

タイレル邸で片目がピンク色に光るフクロウ。不気味かつカッコ良い。

 

●小さい兵隊さんなど、セバスチャン邸のおもちゃ?たち

気味の悪さがよかった。

 

(いろんなバリエーション)

主に5つのバージョンがあります。

 

①ワークプリント版(公開前に観客の反応を観るための試写版。)

序盤に屋台でデッカードが「4本!」、店主が「2本で十分!」と言い合ったのが天丼のエビ天の本数であることが確認できる唯一の版だそう。

他の版では衣みたいなものがギリギリ見えるくらい。

 

②劇場公開版 

ワークプリント版が不評だったことから、デッカードのナレーション等を

追加して一般受けを計りアメリカで劇場公開された版。

 

③インターナショナル版 

日本やヨーロッパなどで公開された版。

 

④ディレクターズカット最終版

1992年にリドリー・スコット監督自身が再編集した版。

デッカードがユニコーンを夢見るシーンが追加されたことで「デッカードはレプリカント?」論争を加熱させた版。

原題タイトルを意識したこのシーンは、デッカードの目が茶褐色になるシーンやラストのユニコーンの折り紙と合わせて「デッカード=レプリカント」と強く意識させる演出になっています。

(監督は「デッカードはレプリだ」と明言してるようですが)解釈は観た人それぞれ、正解は無いと思います。)

 

⑤ファイナル・カット版

2007年にスコット監督が再び編集した版。

細かいミスを修正したり、高画質になったりしてる。

これまでの版では「地球に侵入したレプリカントは6人。内1人が死んだ。」と言ってるので残りは5人のはずですが、作中では4人しかいないというミスが修正されてます。

(死んだのが「1人」ではなく「2人」に台詞が修正されました。)

 

いろいろDVD、Blu-rayで出てます。②~④がまとめて入ってるDVD、Blu-rayもあります。

 

(デッカードはレプリカント?論争)

どの版でも作中ではっきりレプリだと明言されてはいません。

 

1から100まで作中で説明する作品もあれば、あまり説明しない作品もあります。全て説明、解説してくれればスッキリ感はあります。

あまり説明してくれないと、作品によっては消化不良を感じたりもしますが、全てを語らない事で観客に想像力を働かせる余地を与えてくれます。

観た人それぞれが、それぞれに想いを馳せて、それを語たらったり。

それも映画の楽しみの一つかなとは思います。

 

そう考えると、「ユニコーンの夢」シーンを追加した版は、やや無粋だったのかなと思ったり。

 

2017年に続編「ブレードランナー 2049」が公開されました。

ハリソン・フォードが演じるデッカードも登場するので、この論争にハッキリとした答えが示される!? 

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)レプリカント ネクサス6型

 

ブライアン

They were designed to copy human beings in every way except their emotions.  The designer reckoned after a few years they might develop their own emotional responses.

Oh, hate, love, fear, anger, envy.

So they built in a fail-safe device.

(ヤツらは感情以外は全て人間と変わらん。数年も経てば感情も生まれるらしい。憎しみ、怒り、恐怖、妬み。だから安全装置も作られた。)

 

デッカード

Which is what?(どんな?)

 

ブライアン

Four-year lifespan.(4年の寿命だ。)

 

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(シーン②)レプリカントと生みの親

 

タイレル博士

I'm surprised you didn't come here sooner.(もっと早く来るかと。)

 

ロイ

It's not an easy thing to meet your maker.(なかなか大変でね。)

 

タイレル博士

And what can he do for you?(それで、何の用だね?)

 

ロイ

Can the maker repair what he makes?(修理をしてもらいたい。)

 

タイレル博士

Would you like to be modified?(さらなる改良を?)

 

ロイ

I had in mind something more radical.(もっと根本的な問題さ。)

 

タイレル博士

What? What seems to be the problem?(というと?)

 

ロイ

Death.(死だ。)

 

タイレル博士

Death? I'm afraid that's a little out of my jurisdiction.

(死か。それは私の管轄外だと思うのだが。)

 

ロイ

I want more life. Fucker.(オレは生きたいんだよ、コノヤロー。)