シェイプ・オブ・ウォーター B

(THE SHAPE OF WATER)2017

監督 ギレルモ・デル・トロ  
キャスト サリー・ホーキンス イライザ・エソポジート 
  マイケル・シャノン ストリックランド 
  リチャード・ジェンキンス ジャイルズ(絵描き) 
  オクタヴィア・スペンサー ゼルダ(イライザの同僚友人) 
  マイケル・スタールバーグ ホフステトラー博士(ディミトリ)
  ダグ・ジョーンズ 半魚人 
  デヴィッド・ヒューレット フレミング(警備担当) 
  ニック・サーシー ホイト元帥
  ナイジェル・ベネット 同志ミハルコフ
  マーヴィン・ケイ ミハルコフの部下
  ローレン・リー・スミス ストリックランドの妻
  マーティン・ローチ ゼルダの夫
  スチュワート・アーノット ジャイルズの元上司
  ジョン・カペロス 映画館主
  モーガン・ケリー パイ屋の男

のどに負った傷のせいで声が出せないイライザ。清掃員として働く研究所に運ばれてきた謎の生物「半魚人」と出会い、徐々に彼と心を通わせていく。

しかし、実験のため彼が殺されてしまう事を知ったイライザはなんとか逃がそうと画策するが・・・

 

ギレルモ・デル・トロ製作&脚本&監督ファンタジー・ラブストーリー

ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。さらにアカデミー作品賞、監督賞を受賞したギレルモ渾身の一作です。

 

(生々しいファンタジー)

少しアレンジすれば「人魚姫」の逆バージョン的な感じでディズニー作品にもできそうなおとぎ話、ファンタジー・ラブストーリーでありながら、中年女性の全裸や自慰シーン等、やたら生々しい性的描写があるためR15+指定で公開されました。(ストリックランドが奥さんとSEXするシーンにはモザイクがかかってます。)

「半魚人」のデザインもカワイイでもカッコイイでもない生々しいクリーチャー。人の言葉や感情はある程度わかるものの、知能はそんなに高くない(チンパンジーくらいな感じ。)

直接描写は無かったものの、作中で主人公イライザと半魚人がSEXした事が言及されており、その時点で私的には獣姦ムービーという気持ち悪い印象が付いてしまい、ラブストーリーとしてはまったく楽しめませんでした。

 

(マイノリティーのドラマ)

主人公イライザは声を出せない障害者。

その友人であるジャイルズはゲイ。

半魚人はマイノリティーどころか人でもないモンスター。

孤独や疎外感を抱える者たちが共感し助け合い、居場所を求めるドラマでもあります。

前述の性的描写も含めて、大人向けのファンタジーですね。

 

(半魚人)

ギレルモ監督作で「半魚人」と言えば「ヘルボーイ」シリーズのエイブ。

全体的なシルエットは似てますが、エイブは目が大きくてまだかわいげがあったのに対して、本作の半魚人はややグロテスクな感じ。

 

半魚人の原点は1954年のSFホラー「大アマゾンの半魚人(Creature from the Black Lagoon)」。

(ギレルモは元々この作品をリメイクしたかったみたいです。)

 「大アマゾンの半魚人」は、人間の女性に興味を持つモンスターという点で1933年「キングコング」に似ていると言われた作品ですが、本作でもその点は踏襲されてます。というか、その辺がメインになってます。

 

(見どころ)

●サリー・ホーキンス(主役イライザ)の演技。

声が出せない役のため、作中では手話で会話していますが、感情をフルに映しだした顔の表情が素晴らしいです。

特に、友人ジェンキンスに彼の救出を懇願する時の表情が素晴らしいです。

 

ハンディキャップがあり、どこか薄幸感漂う女性と言う点で2000年「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の主人公セルマを思い起こしたり。(急に歌い出す妄想シーンもあるので。)

 

★★★PICK UP LINES★★★

「彼を助けて!」

イライザの必死の手話での訴えを読むジャイルズ

 

What am I? 

I move my mouth, like him.  I make no sound, like him.

What does that make me?

All that I am... all that I've ever been brought me here, to him.

 

私は何? 私は彼のように口を動かす。でも声は出ない、彼も。

そんな私って一体何?

そんな私が、そんな私だからこそ彼へと導かれたの。

 

(中略)

 

When he looks at me, the way he looks at me, he does not know what I lack or how I am incomplete.

He sees me for what I am, as I am.

He's happy to see me, every time every day.

 

彼が私を見る時、その目でわかるわ。

私に何が欠けているのか、何が不完全なのか、彼は知らない。

ありのままの私を見てくれる。

私と会うとうれしそう。会う度いつも。