ニューヨーク・ニューヨーク B

(NEW YORK, NEW YORK)1977

監督  
マーティン・スコセッシ  
キャスト  
ロバート・デ・ニーロ ジミー・ドイル
ライザ・ミネリ フランシーヌ・エバンス
ジョージ―・オールド フランキー・ハート(楽団長)
バリー・プリマス ポール(楽団員 ピアノ担当)
ライオネル・スタンダー トニー(フランシーヌのマネージャー)
メアリー・ケイ・プレイス バーニス・ベネット(フランシーヌの後釜の楽団ボーカル)
キャシー・マッギニス エレン(フランシーヌの友人)
クラレンス・クレモンズ セシル・パウエル

VJ-DAY!

1945年、対日戦争に勝利してお祭りムードに湧くアメリカ、ニューヨーク!

 

パーティで出会ったサックス奏者ジミー歌手フランシーヌ

付き合い始めた2人の波乱だらけのラブストーリーと、お互いの音楽ライフを描いた作品。

 

ミュージカル映画と紹介される事もありますが、私的にはミュージカル映画ではなく「音楽を扱ったドラマ映画」というくくり。

歌のシーンは「歌手役のキャラが歌唱するシーン」であり、通常の会話がいきなり歌に変わったりする事はないです。

 

(スコセッシ監督 & 主演ロバート・デ・ニーロ 第2弾)

前年公開「タクシードライバー」でカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞の快挙を成し遂げた名コンビ。

翌年にも同コンビの本作が公開され、前年の勢いそのままにと行きたかったところでしたが、批評的にも興行的にも大惨敗

40~50年代のいかにも劇っぽい装いの中に、コセッシの好きな即興演技でリアリティを持たせようとする試みだったようですが、やっぱりデニーロが演じるジミーのキャラへの反感が強かったのかなー。

 

同コンビ3作目となる1980年「レイジング・ブル」ではデニーロがアカデミー主演男優賞を受賞するなど、再び成功を収めます。

 

(完全にギャングなジミー)

デニーロ演じる主人公ジミーは登場シーンからして、だれかれ構わずナンパして、フランシーヌへは特にしつこいのなんの。

のっけから観衆に嫌われるキャラ全開です。

 

我が強く、自分本位、支配欲も強く、常にフランシーヌを自分の思う通りに従わせようとする、オラオラな扱いにくい男。

私の中で、スコセッシ監督やデニーロに「ギャング映画」というイメージがあるせいか、もうジミーがギャングにしか見えなくなりました

(ギャング映画では成り上がっていく夫の犠牲となる妻や崩壊していく家族が描かれるのが常套。)

 

最後まで観ると、哀愁漂うラストの余韻を際立たせるためのクソヤローっぷりだった事は理解できますが・・・・

 

(音楽)

●NEW YORK, NEW YORK

作中でジミー作曲、フランシーヌ作詞で作っていた本作のメインテーマ。

最後にフランシーヌが歌うシーンは圧巻。

後にフランク・シナトラがカバーして大ヒット。

今ではニューヨークの市歌とも言われ、ニューヨーク・ヤンキースのヤンキースタジアムでは試合終了後にこの曲が流れるそう。

軽やかなピアノのイントロはみんな聴いた事あるはず。

 

●HAPPY ENDINGS

終盤に、歌手・女優として大成功したフランシーヌが主演するミュージカル映画(の主題歌)として使われた曲。

 

現在リリースされている本作のDVDやBlu-rayは約160分。

しかし公開当時は130分くらいに短縮されたバージョンが広く上映されていたそう。130版は「HAPPY ENNDINGS」のシーンが丸々カットされていたそうです。

フランシーヌが女優として成功したことを印象付けるシーンで、少し尺が長い気もしますが、かなりクオリティが高くて見応えのあるシーン。

またフランシーヌ役のライザ・ミネリの母ジュディー・ガーランド主演のミュージカル映画「スタア誕生」を彷彿とさせるシーンになっているようです

 

(見どころ)

ラスト 男の哀れ、時間の残酷

あんなに強気だったのに未練や寂しさが滲んで、弱さが表面化したジミー。

フランシーヌにとってはもはやただの過去になってしまった哀しき男。

1953年「ローマの休日」のラストシーンを思い起こしたり。

 

音楽や俳優の道を目指す男女が恋して、別れて、成功して、最後にまた邂逅という流れは2016年「ラ・ラ・ランド」がそのまま使っている感じ。

成功したフランシーヌの舞台をジミーが観に行く終盤のシーンは、男女立場が逆ですが「ラ・ラ・ランド」の最後も同じ。

 

★★★PICK UP LINES★★★

Pain in the Ass 

 

フランシーヌ

Maybe Jimmy... would consider...

You say he's good.  You think he's good.

(ジミーなら、どうかしら。彼は良いって言ってたでしょ。そうよね。)

 

フランキー

He's not only good, baby. He's a bitch.

He blows a barrel full of tenor.

Oh, but he's some kind of pain in the ass.

(そうだが、アイツはバカ野郎さ。サックスを吹かせりゃ最高だが、トラブルの元になる。)

 

フランシーヌ

I don't want to strat this argument.(その話は嫌よ。)

 

フランキー

All right, okay, all right.

But he's a top pain in the ass, and that's the truth.

A top pain in the ass.

(わかった、わかった。だけど実際アイツは一番の厄介の種さ。

一番の厄介の種。)

 

フランシーヌ

You want to say it once more... three times for luck?

(2回も言って。なんなら3回言った方が縁起がいいんじゃない?)

 

フランキー

Three would groove me.  It's my favorite number.

Top pain in the ass.

(ああ、そうだな、言ってやる。アイツは一番の厄介の種だよ。)