ジョーカー S
(JOKER)2019
監督 | トッド・フィリップス | |
キャスト | ホアキン・フェニックス | アーサー・フレック (ジョーカー) |
ロバート・デ・ニーロ | マレー・フランクリン(Tv番組MC) | |
ザジー・ビーツ | アーサーの隣人女性 | |
フランシス・コンロイ | ペニー(アーサーの母) | |
ビル・キャンプ | ギャリティ刑事 | |
シェー・ウィガム | バーク刑事 | |
ブレッド・カレン | トーマス・ウェイン | |
ダグラス・ホッジ | アルフレッド(ウェイン家執事) | |
ダンテ・ペレイア・オルソン | ブルース・ウェイン(後のバットマン) | |
グレン・フレシュラー | ランドル(アーサーに拳銃を渡した道化) | |
リー・ギル | ゲイリー(小人症の道化) | |
シャロン・ワシントン | アーサーの面談相手 | |
ブライアン・タイリー・ヘイリー | アーカム病院事務員 |
アーサー・フレック
居住地:ゴッサム・シティ
職業:道化師(ピエロ)
夢:スタンドアップ・コメディアン
症状:発作的に笑いが止まらなくなる
精神疾患を患い、普通の人とはちょっと違うフリークで薄汚れた中年おじさん。
でも決して悪人ではなかったアーサーが不遇、偏見、暴力、貧困、理不尽、不条理等々、殺伐とした格差社会の抱えるマイナスを一身におっ被って、落ちて堕ちて、鮮烈な輝きを解き放つまでの物語。
バットマンの宿敵ヴィラン、ジョーカー誕生に焦点を当てたお話。
(新たなジョーカー像)
化学薬品のタンクに落っこちて髪は緑、顔は真っ白、口が裂けていつも笑ってるみたいな顔になっちゃった、というのがこれまでの一般的なジョーカー誕生のお話ですが、本作は、監督&脚本&製作のトッド・フィリップスが新たなアプローチで悪のカリスマが誕生するまでを描いたオリジナル要素の強い作品になります。
(強烈な風刺)
監督曰く、本作はあくまでアーサーという男がジョーカーになるまでを描いた人間ドラマで、社会風刺は意図した事ではないそうですが、内容的には、ドンピシャ現代のアメリカや先進国が抱える格差社会の闇を強烈に切り取った風刺作品になってます。
物語の舞台はゴッサム・シティという架空の都市ですが、1981年のニューヨークがモデル。
70~80年代のNYも景気が悪く、治安は最悪の状態だったそうです。
(大ヒット)
アメリカでも日本でも大ヒットしました。
私も映画館で鑑賞し、スゴイ作品だなと思いましたが、同じアメコミ原作でもマーベルのアベンジャーズのような爽快で楽しいアクション作ではなく、暗くシリアスな話で、薄汚れたおっさんの顔アップが多い本作の大衆ウケがいいとは思いませんでした。が、日本でも大ヒットしました。
もしジョーカーに共感を覚えた人が多いのなら、日本の社会もだいぶ殺伐としているという事なのかもしれません。
本国アメリカのアカデミー賞とゴールデングローブ賞でいずれも主演男優賞と作曲賞を受賞。
またヴェネティア国際映画祭では見事、金獅子賞(作品賞)を受賞しました
見どころ①
(アーサー / ジョーカー)
●演じたホアキン・フェニックス
神演技ですね。見事アカデミー主演男優賞を受賞しました。
気味の悪い感じや秘めた狂気を、顔の表情だけでなく姿勢やバタバタした走り方とか全身で表現してました。
●ジョーカーの舞い
地下鉄での殺人の後に、薄汚い公衆トイレでキモ美しく舞うジョーカーの圧倒的な輝き。
ジョーカーへの覚醒を描いた象徴的なシーン。
演じたホアキンは「アーサーが殻を破ろうとしている」と言ってました
●ジョーカー・ステップ
長い階段を「登っていくアーサー」と「踊りながら下っていくジョーカー」のシーンが対照的に描かれてます。
どんよりと暗い所へと登っていくアーサー。
一方、下って(堕ちて)いくのに、踊りながら光に照らされるジョーカー。
堕ちる程に輝きやカッコよさが増していくのが本作の見どころです。
●ジョーカーメイク
薄汚い雑なメイクですが、逆にそれが怖さを引き立ててます。
ピエロのメイクなので、大きな赤い口がスマイルを作ってますが、よく見ると実際の口元は全然笑ってない。
笑っているようにも冷めているようにも見えるのが不気味。
見どころ②(音楽)
チェロの奏でる物悲しくも不気味な旋律。
物語が進み、その旋律を聞くに連れて、まるでボレロのようにジョーカーの凄みがどんどん増していくように感じる。
チェリストで作曲者のヒドゥル・グドナドッティルが見事アカデミー作曲賞を受賞しました。
(歴代のジョーカー演者)
・1989年「バットマン」のジャック・ニコルソン
・2008年「ダークナイト」のヒース・レジャー
・2016年「スーサイド・スクワット」のジャレッド・レト
・2019年「ジョーカー」のホアキン・フェニックイス
ヒース・レジャー(アカデミー助演男優賞)と、ホアキン・フェニックス(アカデミー主演男優賞)はジョーカーを演じて見事アカデミー賞初受賞となりました。 アメコミのキャラを演じて2人もアカデミー賞を受賞。
ジョーカーというキャラの持つ幅の広さや深みを感じます。
ちなみに、ジャック・ニコルソンとジャレッド・レトは、ジョーカーを演じるよりも前にすでにアカデミー賞を受賞してます。
★★★PICK UP LINES★★★
(シーン①)アーサーのジョーク
I just hope my death makes more cents than my life.
(生きるよりも金になる死を望む。)
「sense」 と 「cents」 を掛けたジョークになります。
本来は、
I just hope my death makes more sense than my life.
(生きるよりも死の方が価値あるものであってほしい。)
という意味合いの文章になります。
吹き替えでは「この人生以上に硬貨・・・価値ある死を望む。」
字幕では「この人生に硬貨な死を望む。」となっていました。
「高価」と「硬貨」を掛けた訳はお見事。
アーサーは他にもたくさんジョークを披露してくれてますが、ジョークを訳すのは難しいですね。
特にアーサーのジョークは、一般の人の感覚ではジョークとして成立していないものなので、ジョークでありながら、面白味が無い事が伝わるような訳を考えないといけないので。
(シーン②)コメディアン
I used to think that my life was a tragedy but now I realize it's a fucking comedy.
(僕の人生は悲劇だと思ってた。けど今わかった。僕の人生は喜劇だ。)