アメリカン・グラフィティ C

(American Graffiti)1973

監督 ジョージ・ルーカス  
キャスト リチャード・ドレイファス カート(明朝発つ?)
  ロン(ロニー)・ハワード スティーヴ(発つ気満々)
  ポール・ル・マット ジョン・ルミナー(走り屋)
  チャールズ・マーティン・スミス テリー(眼鏡)
  シンディ・ウィリアムズ ローリー(スティーヴの彼女 / カートの妹)
  マッケンジー・フィリップス キャロル(ジョンの車に乗った少女)
  キャンディ・クラーク デビー(テリーが引っかけた女の子)
  ハリソン・フォード ボブ・ファルファ(走り屋)
  ウルフマン・ジャック ウルフマン(ラジオDJ)
  ボー・ホプキンス ファラオ団のリーダー格
  スザンヌ・ソマーズ サンダーバード(T-Bird)の女

1962年。

カルフォルニア。

夕暮れ時。

 

高校生活最後の夜を迎えたカートスティーヴ。そして2人の友人であるジョンテリー

4人の若者の一晩の出来事を描いた青春ドラマ。

 

 

(ジョージ・ルーカス監督2作目)

初監督作である近未来SF「THX1138」(1971年)が興行的に失敗。

それを反省してか、作風を180度変えたノスタルジックな青春物語を撮ろうとするも資金集めに苦労し、低予算で製作した本作がメガヒット

「興行的に最も成功した映画」とも言われています。

 

「THX1138」と同様、フランシス・フォード・コッポラが製作を務めています。(ユニバーサルから出資の条件として「ビッグネームが必要。役者が無理なら製作者でもいいから。」と言われ、前年公開の「ゴッドファーザー」で大成功していたたコッポラに再び製作になってくれるよう頼んだそうです。)

 

(古き良き時代のアメリカ)

世界大戦、大恐慌を脱し、平和で経済も好調。ヴェトナム戦争に本格介入する前の物的に豊かなアメリカ。

そんな時代、地方に住む高校生が経験、見聞きしてきたようなちょっとヤンチャなエピソードを繋いでます。

すごく劇的な展開がある話ではなく、いろんなキャラの、いろんな青春の一場面一場面が綴られていきます。

 

graffiti(グラフィティ)は、ペンキやスプレーで壁に書かれた絵の事。日本では「落書き」と訳す事もありますが、この作品では青春「絵巻物」って感じでしょうか。

 

いわゆる「古き時代」を描き、観る人にノスタルジーを喚起させる青春ドラマですが、あくまでアメリカの一時代(かつ中流以上の白人層)の青春を描いたものなので、それ以外の人にはあまりささらないドラマ。

 

●車

車と音楽の映画でもあります。

とにかくオシャレでカッコ良くて奇抜な車がわんさか映ってます。

車が好きな人は楽しいかも。

なにせ予算がなかったので、所有者から借りて撮影した車も多いそう。

 

■フォード・クーペ(Ford Coupe)

走り屋ジョンの黄色い愛車。カワイイしカッコイイ。

 

■シボレー・ベル・エア(Chevrolet Bel Air)

スティーヴがテリーに貸した車。ザ・アメ車。見る分にはカッコイイ。

 

■シボレー150(Chevrolet One-Fifty)

ハリソン・フォード演じる走り屋ボブ・ファルファの愛車。強そう。

 

■エドセル(Edsel)

主人公カートの妹ローリーの車。女の子が乗るにはガッシリしすぎかな。

 

■フォード・サンダーバード(Ford Thunderbird)

作中に登場するのは初代のサンダーバード。通称、T-Bird。

カートが一目惚れする謎の金髪美女が乗る。

 

全部フォードの車です。

 

街の幹線道路が、こんなオシャンな車たちで溢れかえっているシーンがあります。

高校生くらいの男女が夜に車で街をブラブラ流して、ナンパしたり、されたり。俗に”クルージング”と呼ばれる若者の夜遊びですね。

日本でも似たような形態はあるかもしれません。

(普通の道路ではなく、湾岸の倉庫区画とかで。)

ちなみにアメリカではほとんどの州で16歳で免許取れます。

(時間帯や範囲が制限されてる場合が多いですが。)

 

■番外編:ベスパ(Vespa)

序盤でテリーが操作ミスして突っ込んだイタリア製のスクーター。

元々たどたどしく停車する予定だったそうですが、突っ込んだのはホントに操作ミス。NGシーンなんですが、ルーカス監督はそれを採用。

 

俳優にはかなり自由に演じさせ、言い間違えやハプニングテイクを採用したシーンが多いそうです。(むしろ何かミスやハプニングが起こるまで何テイクも撮らされたそうです。)

 

●ラジオ

車と言えばラジオ。

60~70年代に活躍した人気ラジオDJウルフマン・ジャックが本人役で出演してます。

 

●音楽(ロックンロール)

アメ車、ラジオ、とくれば流れてくるのはロックンロール!

50~60年代の音楽ががっつし使われ、サントラも大ヒットしたそうです。

 

●キャラクター造詣 

車や音楽だけでなく、登場人物たちも当時の若者の典型を強調したキャラ。「高校を卒業し田舎を出る者、残る者」「モテるヤツ、モテないヤツ」

「走り屋」「不良」「ウブな子、遊ぶ子」

ルーカス監督や脚本家の学生時代の友人たちがモデルだそうです。

 

(エピローグのテロップ)

●ジョン

2年後、酔っ払い運手の車と事故に遭い死亡。

●テリー

ヴェトナム戦争で行方不明。

●スティーヴ

保険外交員に。

●カート

作家に。

 

4人のその後がテロップでさらっと語られていますが、これがあるかないかで作品全体の印象が大きく変わるような演出。

 

周りからは「雰囲気や余韻がブチ壊し!」と反対されたそうですが、ルーカス監督の意向で入れたそうです。

 

生々しいその後の社会や運命を突き付ける事で、余韻を壊すのではなく、むしろ「あの頃は良かった。」という郷愁を強める演出。

 

このエピローグが、同じくノスタルジーがテーマになっている1986年の「スタンド・バイ・ミー」に繋がっている気が。

「スタンド・バイ・ミー」のエピローグでも「主人公が成長して作家になった」、「主人公の友人が亡くなった」事が語られてます。

そして成長して作家になった主人公を演じているのが本作主人公カートを演じるリチャード・ドレイファス!

 

(後の成長株たち)

 ●ハリソン・フォード

走り屋ボブ・ファルファ役。当時30歳。

4年後の1977年に公開される同じくジョージ・ルカ―ス監督作スター・ウォーズ」で一躍スター俳優になります。

 

●ロン・ハワード

スティーヴ役。両親とも役者で、子供の頃から子役として活躍。

その後、監督業に転身して、数々の名作、大作を生み出しアカデミー監督賞も受賞。アメリカを代表する監督の一人となります。

ちなみの彼の娘ブライス・ダラス・ハワードも女優をしてます。

 

(小ネタ)

●ジョンの愛車フォード・クーペのナンバープレートは「THX 138」。

ルーカスの監督デビュー作「THX 1138」をもじったもの。

 

●カートの仕掛けたワイヤーでパトカーが壊れるシーン。

後ろに映っている映画館には、コッポラ監督の実質的な監督デビュー作「Dementia13」の表示があります。

 

ルーカス、コッポラ2人の巨匠のデビュー作が刻まれてます。

 

(好きなところ)

●走り屋のジョン

一番好きなキャラクター。

イカした車に乗る走り屋、不良。

だけど単なるおバカではなく、どこか影をまとった雰囲気が好きです。

浮かれてる周囲から一歩引いた感じや、少女キャロルに見せた優しさが魅力的。小島よしおに似ている。

 

★★★PICK UP LINES★★★

ウルフマンのラジオ放送 サンダーバードの女へ

 

Hey, I got a dedication here that's for a friend of the old Wolfman, and he wants me to play the next song for a blonde young lady in a Thunderbird, a white T-Bird, you understand.

Now my friend's name is Curt, and he wants to talk to you out there, baby. 

So you meet him at Burger City, or you can phone Diamond 3132.

Now, he's a friend of mine, you hear, and little girl, you better call him or the Wolfman gonna get you.

 

さてここでウルフマンの友達からのリクエストだ。

サンダーバードに乗ったブロンド美女に次の曲を贈りたいってさ。

白のTバードだよー。

友達の名はカート。君と話したいそうだ。

バーガー・シティに行くか、D-3132に電話を。

聴いてるかい?オレの友達なんだ。電話してやってくれよな。

じゃないとウルフマンがただじゃおかないぞ。

 

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ドラマ  
   
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青春ドラマ  
   
公開年  
1973年  
ランク  
 
年代  
1962年  
舞台  
アメリカ カリフォルニア