誰よりも狙われた男 

(A Most Wanted Man)2014

監督 アントン・コルベイン  
キャスト フィリップ・シーモア・ホフマン ギュンター・バッハマン
  レイチェル・マクアダムス アナベル・リヒター弁護士
 

グリゴリー・ドブギリン

イッサ・カルポフ(テロリスト? 難民?)
  ウィレム・デフォー トミー・ブルー(銀行家)
  ロビン・ライト マーサ・サリヴァン(CIA)
  ニーナ・ホス イルナ・フライ(ギュンターの部下)
  ダニエル・ブリュール マキシ(ギュンターの部下)
  ライナー・ボック モア(ギュンターの上役)
  ホマユン・エルシャディ アヴドゥラ博士(テロリストに資金提供?)
  メディ・デビ ジャマール(アヴドゥラの息子)

独のハンブルクにイスラム過激派の疑いのかかる男イッサ・カルポフが密入国する。

テロ対策に執念を燃やす捜査チームのリーダー、ギュンター(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、イッサを監視しつつも泳がせて、さらなる大物の摘発をにらむ。

イッサの独への亡命を助ける人権派弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)、イッサが相続人である巨額の銀行口座を管理する銀行家トミー(ウィレム・デフォー)、そしてCIAへ接触、工作を計り自らの計画を推し進めるギュンター。

様々な思惑が交差する中、果たしてイッサの運命は・・・

 

 

ジョン・ル・カレの2013年の同名小説が原作。

スパイ小説の名手ル・カレの作品は、話が非常に硬派で大人向け。

ミッション・インポッシブル」や「ジェイソン・ボーン・シリーズ」のような大作スパイ・アクションとは一線を画した大人の思惑が交差し合うポリティカルなドラマが持ち味。

 

本作も、容赦ない大人の思惑と、それに翻弄される力なき者が描かれる至極大人なドラマ。アクションは一切なく、画的に派手な所もないですが、唯一、レイチェル・マクアダムスが目の保養かな。かわいい。

 

リアルさを突き詰めているこの作風の中で、主人公ギュンターが肥満気味なのはちょっと微妙な感じがしました。むしろ痩せ型の方がキャラに合ってる気がする。

リアルっぽさは感じさせますが、リアルな作品ではないです。ギュンターの暴走感にはリアルさはないです。

 

作品冒頭でも触れてましたが、独のハンブルクは9・11テロの実行犯が潜伏し計画を練っていた場所です。独をはじめ、それを見抜けなかった各国諜報機関が忸怩たる思いをさせられた因縁の地。

登場人物の多くもドイツ人ですが、ガチガチのハリウッド俳優が英語で演じているのはご愛敬。

 

邦題「誰よりも狙われた男」は原作小説の邦題をそのまま使っていますが、内容に合ってない気がします。

自分が付けるなら「セイフ・ワールド」かな。

 

(見どころ)

●ラストでしょうね。

テロリストは情け容赦ない連中ですが、それに対抗する捜査機関もまた情け容赦ない狼たち。その現実を目一杯叩きつけてくるあのバッドエンドは印象的です。

ラスト直前にギュンターの作戦の成否に関わる緊迫したシーンがあります。

(アヴドゥラ博士が送金先の変更を切り出すシーン。)

そこをギリギリクリアしてホッとした後のラストなので落差も抜群ですね。

 

★★★PICK UP LINES★★★

何のために・・・ 意義

 

ギュンター

You have asked yourself that question? Why we do what we do?

(自問することはあるか? 我々の仕事の意義を?)

 

マーサ

Mm-hmm, sometimes.  But I always come up to same answer.

(ええ、時々はね。でも答えはいつも同じ。)

 

ギュンター

And what is it?(それは?)

 

マーサ

To make the world safer place.  Isn't that enough?

(世界を安全に。十分でしょ。)

 

 

 

こんな青臭い質問しちゃった時点で、ギュンターの負けは決まってたのかなー。