死の谷間 C

(Z FOR ZACHARIAH)2015

監督 クレイグ・ゾベル  
キャスト マーゴット・ロビー アン 
  キウェテル・イジョフォー ジョン・ルーミス
  クリス・パイン ケレイブ 

核で汚染され人が住めなくなった世界。

奇跡的に汚染を逃れた山あいの村で信仰をよすがに孤独に耐えながら一人暮らす若き女性アン

そこへ生存者の男ジョンが現れる。

科学者で信仰を持たないジョンと価値観や人種の違いはあるものの徐々に距離を縮めていく二人。しかしそこへもう一人の男ケレイブが現れ、その微妙な関係性が崩れていく。

 

一人の女と二人の男。

三人だけの世界のお話。

三角関係になるしかない状況で、一人の女を巡って嫉妬に狂う男たちが争うドロドロ人間物語になっていくのかと思いましたが、全然違う方向性を向いた作品でした。

 

信仰のお話というか、神話的、原初的な人間の物語。

 

(タイトル Z FOR ZACHARIAH

原作は米の作家ロバート・C・オブライエンが1974年に発表した小説「死の影の谷間」。その小説の原題が「Z FOR ZACHARIAH(ザカリア)」で、映画の原題にもなってます。

ザカリアは新約聖書の登場人物。

老齢になっても妻との間に子供ができなかったが、天使ガブリエルが子供の誕生を予言。予言通り誕生した子供が洗礼者のヨハネとなります。

 

Zは「最後」を意味する文字ですが、原題の意味するところはイマイチ分かりません。

 

ちなみに原作小説ではケレイブは登場しません。アンとジョンだけ。

話もだいぶ違います。

 

(突き落としたの?)

気になるのは、ジョンがケレイブを崖から落として殺したのか?

そのはっきりとした答えは作中では描かれていません。

こういう観る人に解釈を委ねるような作品はあまり好きではないですが・・・

 

私なりの解釈は「落としたかどうかは分からないが、ジョンの意志によって、ケレイブは谷から消えた」です。

落としたのか、落としはしなかったが出ていけと言ったのか、ジョンの意志を察したケレイブが自分で出ていったのか、その辺はわかりませんが。

 

ケレイブは、ジョン(ザカリア)を試しにきた天使か悪魔のような存在だったのかなと思ったり。 最後の崖のシーン、笑ってたもんなー。

 

(見どころ)

マーゴット・ロビー

一人で生き抜いてきたアンの逞しさ、信仰心の深い真っすぐさ、ちょっと世間知らずなピュアさ。多面的なキャラを好演してます。

 

2013年「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のヒロイン役で注目された彼女。本作では役柄もあってノーメイクに近いお顔ですが、それでも美しい。翌2015年には、がっつりメイクで「スーサイド・スクワッド」のハーレクインを演じてます。

 

キウェテルの演技も良かったです。

 

●最後にアンが奏でるオルガンの音色

メチャクチャ寂しげなメロディー。

この後、2人はうまくいくのかなー? なんか無理そうよねー。

 

ちなみに原作小説は「当初ジョンに好意を抱いていたアンだが、自分を思い通りに支配しよとするジョンとの間に軋轢が生じ、アンが谷を脱出する」というストーリーです。

 

★★★PICK UP LINES★★★

アンの孤独

 

分かってる。あなたも大変だったんだって。

でもここだって楽じゃなかったの。

最初の数か月はカレンダーもそのままだった。

すぐに気づいたのよ。誰も戻って来ないってね。

バカみたいよね。だからやめたの。日にちを数える事を。

1人なんてウンザリ。もう孤独は嫌なの。