エレファント・マン B
(THE ELEPHANT MAN)1980
監督 | デヴィッド・リンチ | |
キャスト | アンソニー・ホプキンス | フレディ・トリーヴズ医師 |
ジョン・ハート | ジョン・メリック | |
ジョン・ギールグッド | カーゴム院長 | |
アン・バンクロフト | ケンドール夫人(女優) | |
フレディ・ジョーンズ |
バイツ(興行師) |
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ウェンディ・ヒラー | 婦長 | |
マイケル・エルフィック | 病院の警備員 | |
ハンナ・ゴードン | アナ(フレディの妻) | |
デクスター・フレッチャー | バイツが連れいる少年 | |
レスリー・ダンロップ | ノラ(看護婦 叫んでお皿落とした子) | |
ケニー・ベイカー | 見世物小屋の小人 |
先天性の疾患により、顔・頭・体が極度に変形し、異形の姿を持つせいで周りから疎まれ、「エレファント・マン」として見世物小屋に立たされていた青年ジョン・メリック。
彼の症状に興味を持ったトリーヴズ医師により病院へと引き取られる。
その外見から知的障害も疑われていたジョンだが、知性に問題はなく、徐々に周囲に心を開いていく。
過酷な運命を背負った青年ジョンと、彼を支えようとする人たちの悲哀のドラマ。
「外見はコワモテ(異形)だけど、優しく温かい心も持つ人やクリーチャー」というのは、物語では割とよく見かけるプロットですが、本作のエレファント・マンは実在した人物になります。
(実話ベース)
実在した人物ジョゼフ・メリック(1862~1890)を基にしたお話。
彼を診察した医師フレデリック・トレヴェスの回顧録を基に1977年に戯曲(舞台劇)が作られ成功。(トニー賞受賞)
そしてデヴィッド・リンチ監督独自の解釈を盛り込んで映画化された本作も話題を呼び、ジョゼフの存在が知られるようになりました。
ジョゼフ(ジョン)のヴィジュアルはかなり忠実に再現され、またエピソードも概ね事実に即して描かれています。
(トレヴェスが彼を診察し、実物標本として学会で見せた事。病院長が就労が難しい彼への支援を求めて新聞に投稿し話題になったこと。それにより上流階級の人々からの面談希望が増えたこと。その中に女優ケンドールがいて、彼女に模型の大聖堂を作ってプレゼントした事。興行先の大陸から一人で船や鉄道を乗り継ぎロンドンへ戻ってきた事。そして仰向けで寝て亡くなった事等々、出来事は概ね事実。)
(実際と異なるところ)
時系列は順序を入れ替えて描かれているところがあります。
(病院に入った彼が、再度連れ出される事は実際にはなかった出来事です)
見せ物小屋に関しては、無理矢理ではなく、彼自身が手紙で自分を売り込んでやっていました。
(死について)
作中でも描かれていた通り、仰向けで寝ると大きな頭に圧迫されうまく呼吸ができないため体育座りのような恰好で寝ていました。
しかし遺体は仰向けで寝ている状態で発見されました。
仰向けで寝る事を試そうして起きた事故なのか、いつも通りに寝ようとしたが頸椎が脱臼し死亡。頭の重さから死後仰向けになったのか。
いずれにしろ事故死と考えられています。
本作では自死とも受け取れるような描かれ方になってます。
(症状について)
現在では彼の奇形はプロテウス症候群という希少疾患が原因だったと考えられています。
生まれた時には異常はなかったそうですが、歳を重ねるごとに段々と症状が現れて進行していったそうです。
(キャスト)
●アンソニー・ホプキンス(トレーヴズ医師役)
ハンニバル・レクター役でブレイクし、やや丸っこいイメージが強いですが、この頃はけっこうシャープ。(当時43歳)
●ジョン・ハート(ジョン・メリック役)
英国アカデミー主演男優賞を受賞しました。
顔の表情はほとんどなく、声も自由に発声できず、演技そのものが見えにくい役だったので、私的には受賞はどうなのかと思いました。
(監督)
●カルトの帝王デヴィッド・リンチの監督2作目。
初監督作の怪奇映画「イレイザーヘッド」とは打って変わってヒューマンドラマを撮りました。モノクロ作にしているところは同じ。
批評家から高評価を受けて、一躍有名に。
(悲しかったシーン)
病院でのどんちゃん騒ぎ。あれはなかなか残酷で可愛そうだった。
★★★PICK UP LINES★★★
バイツの口上
Life!... is full of surprises.
Consider the fate of this creature's poor mother, struck down in the fourth month of her maternal condition by an elephant, a wild elephant.
Struck down on an uncharted African isle.
The result is plain to see...
Ladies and gentlemen. The terrible Elephant Man.
この世は驚きで満ちている!
この生き物の母親は悲しき運命を背負った。妊娠4か月の時に野性の象に襲われたのだ!アフリカのどこかもわからぬ島で。
その結果はご覧いただければ明白。
レディース&ジェントルマン。世にも恐ろしきエレファント・マンです。