アメリカン・スナパー B

(AMERICAN SNIPER) 2015

監督 クリント・イーストウッド  
キャスト ブラッドリー・クーパー クリス・カイル 
  シエナ・ミラー タヤ(クリスの妻)
  ルーク・グライムス マーク
  ジェイク・マクドーマン ビグルス
  サミー・シーク ムスタファ(敵スナイパー)
  ミド・ハマダ ファヌス(ドリル・ザ・ブッチャー)
  キーア・オドネル ジェフ(クリスの弟)
  ベン・リード クリスの父
  ケヴィン・ラーチ ドーバー

4度にわたりイラク戦争へ派兵され、160人以上を射殺し伝説と謳われた実在のスナイパー、クリス・カイルを描いた戦争映画

 

クリスの自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」

(原題:AMERICAN SNIPER)が原作。

 

(リアルの追求)

ライバルスナイパーのムスタファとの闘いなど、作られた物語感を感じる部分もありましたが、(ムスタファという元オリンピック選手のスナイパーは実際にいたようですが、クリスが直接交戦したことはないそう)本人や家族への徹底した取材によるリアルなクリス像や、実際にクリスと共に従軍したシールズ隊員(ケヴィン・ラーチ)も出演する等リアルな戦場描写の中で、人間性と過酷な任務との間で苦悩するスナイパーや、帰還兵の心の病という戦争映画における普遍的なテーマを扱った作品。

戦争映画でよく扱われるテーマなので、そこに新鮮さはありませんが「過酷な戦争に行く」「日常に帰る」を交互に繰り返す異常さ、怖さは感じました。

(2003~2009年の間に4度派兵されたそう。1回の派兵期間はわかりませんが、作中で「4回で計1000日くらい」と言っていたので、1回で約8~9か月くらいでしょうか。8~9か月行って、8~9か月戻る。その繰り返し

 

クリスの弟のように、戦場の緊張感や恐怖から心が日常に戻れず病んでおかしくなっていく者が多い中、クリスのように、命の奪い合いの中に身を置く中で一種の高揚感から抜け出せずに戦場中毒になる兵士も。

 

(戦争を描く)

戦争であれ、なんであれ物語を描くという事は、作り手の目線で描くという事。そうじゃないと話なんて描けないので。

 

この映画では「戦争に『行って』『帰ってくる』」「戦争は外へ行って戦ってくるもの」という所が実にアメリカ目線だなと思いました。

兵士の帰りを待つ身である家族も辛いでしょうが、アメリカ本国にいる家族たちが戦争による危害に直接さらされる事はありません。

 

しかし自分たちのホームが戦場となっているイラクの人々は違います。

女性も子供も家も何もかもが巻き込まれてます。立ち位置で全然変わる。

 

スナイパーの苦悩を描いた作品では1992年「山猫は眠らない」が、戦争の中毒性を描いたものでは2008年「ハート・ロッカー」がいいかな。

 

(見どころ)

●ブラッドリー・クーパーの演じたクリス

ガチムチに鍛えた体だけでなく、実際にクリスとも会い役作りに挑み、見事に演じていたと思います。

ロケット砲を抱えて打とうとする少年に照準を当てるクリスの緊迫感はパナイですね。

脚本のジェイソン・ホールもクリスや妻タヤへの取材を重ねリアルなクリス像を作り上げていったそうです。

 

退役後は軍事訓練を行う会社を設立。執筆、講演活動を行い、PTSDに苦しむ退役軍人の社会復帰を目指すNPOを設立。退役後の人生にも意味を見出して生きるクリスを描いて映画は終わる予定だったのかもしれません

しかし2013年、PTSD患者の退役軍人サポートのための射撃訓練中に、その相手に撃たれてクリスは38年の生涯を閉じました。

 

ブラッドリー・クーパーは2018年「運び屋」でもイーストウッド作に出演してます。

 

★★★PICK UP LINES★★★

懸賞首クリスのジョーク

 

中佐

You're now the most wanted man in Iraq.

There's 180,000 on your head. Congrats.

(今や君はイラク1のお尋ね者だ。君の首に18万ドル。たいしたんもんだ)

 

クリス

Well, don't tell my wife.

She might take that number right now.

(妻には内緒で。敵に売られる。)

 

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実話・実在 スナイパー
戦争 イラク戦争
公開年  
2015年  
ランク  
 
年代  
2003~2013  
舞台  
アメリカ テキサス  イラク