1823年アメリカ北西部。

毛皮狩猟隊にガイドとして息子と共に参加していた猟師のヒュー・グラス。

偵察中に熊に襲われ重傷を負い隊を離れて息子とその場にとどまる事に。

しかし共に残った仲間に裏切られ、息子を殺された上、置き去りにされる。

瀕死の重傷、極寒の大自然、敵対する先住民族。

絶対絶命の状況の中、冬の大地を、凍える川を、グラスは這って進む。

裏切り者への復讐を胸に･･･

 

アメリカ北部、冬の大自然の中を生き残るサバイバルと復讐劇。

実話が基になってます。

テイストは真逆ですが、クエンティン・タランティーノ作品に近いものも感じました。

 

大自然のロケーション。荘厳かつ悲壮感漂う坂本龍一の音楽。

それだけでも魅せてくれますが、ディカプリオもいい演技見せてくれます。

アカデミー主演男優賞を受賞します。

 

Ｒ-15指定になってます。

野生動物の臓物を喰らうシーン等がやや刺激的でしょうか。

序盤クマに襲われるシーンはかなり怖かったです。クマさんはＣＧです。

三毛別羆事件を思い起こしました。昔アンビリバボーで取り上げてましたが超コワかった。

 

ラストシーン、カメラ目線となるグラスが印象的。

 

（アリカラ族の娘ポワカ）

グラスがフランス隊から助けた女性です。

そのおかげでグラスは最後に殺されず済むわけですが、アリカラ族の父親が、序盤で同じフランス隊から毛皮と引き換えに武器や馬を手に入れてます。娘を捜すために、娘をさらった隊から補給を受けたことになります。

ちょっと意味がわからない。

 

（アカデミー賞）

 ディカプリオの主演男優賞だけでなく、監督賞、撮影賞も受賞しました。

イニャリトゥ監督は前年「バードマン あるいは（無知がもたらす予期せぬ奇跡）」に続いての2年連続監督賞の快挙。

また撮影監督のエマニュエル・ルベツキは2013年「ゼロ・グラビティ」2014年「バードマン あるいは（無知がもたらす予期せぬ奇跡）」に続いて3年連続受賞という史上初の偉業を達成。

 

イニャリトゥ監督、ルベツキ撮影監督、そして「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督は皆メキシコ人。

ハリウッドでの存在感大きくなってます。センスがいいんですよねー。

こういう才能をどんどん取り込みながら、強くなっていくのがアメリカのいいとこ。

 

（見どころ）

●ディカプリオ

おそらくディカプリオ主演作の中では最も台詞の少ない役。

逆境を耐え生き抜く強い男を見事に演じて、念願のアカデミー主演男優賞を受賞しました。おめでとう！

イケメンさんなので、これまではキレイな役が多かったですが、過酷なロケの中、地面に這いつくばり、泥まみれで、台詞もあまりないこの役で一皮むけたような感じ。

ヒゲボーボーで髪もバサバサ、ワイルドな表情はディカプリオとわからないくらいの時も。鋭い眼差しも良かったです。

トム・ハーディ演じた敵役フィッツジェラルの不遜な感じも良かった。

 

（実際のヒュー・グラス）

主人公ヒュー・グラスは実在した人物で、クマに襲われるも奇跡的に生還した逸話が語り継がれてる猟師。置き去りにしたフィッツジェラルド、ブリッジャーも実在した人です。こういう話は広まるごとに尾ひれがついてくるのが常で、そんな逸話を元に書かれたマイケル・パンクの小説「The Revenant : A Novel of Revenge」(邦題：蘇った亡霊：ある復讐の物語)が原作になってます。

 

（クマ前）

猟師になる前は、船乗り、海賊だったとも。

先住民ポーニー族に捕まっていた時期があったようで、その時ポーニー族の女性と結婚したとも言われてます。子供がいたかも不明。

 

（クマ後）

重傷を負いながらも居留地まで移動。その正確な移動距離は不明。120キロくらいと推定されていますが、逸話では300キロとも500キロとも。

サウスダコタ州のクマに襲われたとされる場所にはヒュー・グラス記念碑が建ってます。

 

（復讐、その後）

置き去りにしたフィッツジェラルドとブリッジャー。

ブリッジャーはまだ若かった事もあり許したよう。フィッツジェラルドはその後、軍に入隊してしまったため復讐はかなわなかったよう。

その後グラスは狩猟中に遭遇したアリカラ族に殺されてしまいました。

1833年クマ事件から10年後。