リバー・ランズ・スルー・イット A

(A River Runs Thrugh It)1992

監督 ロバート・レッドフォード  
キャスト クレイグ・シェイファー ノーマン・マクリーン(兄)
  ブラッド・ピット ポール(弟)
  トム・スケリット 父(牧師)
  ブレンダ・ブレッシン
  エミリー・ロイド

ジェシー・バーンズ(ノーマンの彼女)

  スティーブン・シエレン ニール(ジェシーの兄)
  ニコール・バーデッド メイベル(ポールの彼女 先住民系)
  スーザン・トレイラー ローハイド(飲んだくれ女)
  エディ・マックラーグ ジェシーの母
  ジョセフ・ゴードン・レヴィット ノーマン(子供)
  ヴァン・グラヴェイジ ポール(子供)
  ロバート・レッドフォード ナレーション(老齢のノーマン)

20世紀はじめ、モンタナ州。

自然豊かな田舎町。

牧師で釣り好きの父親からマスのフライ・フィッシング(毛バリ釣)を教えられ、闊達に育った兄ノーマンと弟ポール。

 

弟ポールからほとばしる才能や純粋さを、そしてその危うさを感じながら見守る兄ノーマン。

 

兄弟、家族の繋がりを描いたファミリー・ヒューマン・ドラマ。

 

(原作)

原作はノーマン・マクリーンの同名小説「A River Runs Thrugh It(邦題:マクリーンの川)」。

シカゴ大の英文学教授だったノーマンが定年で退職した後に執筆した処女作で自伝的小説。批評家からも評価され、続編も書かれています。

 

(懐古的ヒューマン・ドラマ)

原作者ノーマンが老齢になってから自身の家族を思い起こして書いたお話で、映画でも老齢のノーマンの回顧による語りで懐古するという作り。

じんわ~りと沁みてくる温かな家族のドラマになってます。

ラッセ・ハルストレム監督作を観ているかのようでした。

 

時代も時代で、田舎の牧師の家ということもあり、マクリーン家は家父長制的な描かれ方がされてます。

昨今の自由主義とかフェミニズムという観点から観れば、役割を当てはめられたような保守的な家族像は批判の対象になるのかもしれません。

でもこんな作品を観ていると、決まった役割を与えられて暮らしていくことも、健全な家族愛の中でなら、むしろ幸せなんじゃないかと思ったり。

物事、一長一短ですね。

 

タイトルの A River Runs Through It はそのまま訳せば「川がそこを流れていく」。

釣りを通して親しみ愛した地元の川と、ノーマンやポールたち家族の歴史や人生が掛かっている感じでしょうか。

 

「方丈記」を思い起こしたり。

(ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。)

 

(ブラピ)

前年公開の「テルマ&ルイーズ」で知名度を上げ、本作で批評的評価を得てキャリアの礎を築きます。

 

(ロバート・レッドフォード監督)

監督の若い頃の顔が、ブラピに超そっくり。

(「明日に向かって撃て!」とか見て欲しい。マジゲキ似。)

 

ブラピとレッドフォードは2001年「スパイ・ゲーム」で共演もしています。

 

(好きなところ)

●終盤の弟ポール(ブラピ)の釣りシーン

激流にのまれて流されての格闘からの屈託のない笑顔。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シン①)しょーもない男ニールについて語る兄弟

 

ポール

Couldn't you find him?(あいつは見つかった?)

 

ノーマン

The hell with him.(知るか。)

 

ポール

Well, I thought we were supposed to help him.

(俺たちで助けてやるんだろ?)

 

ノーマン

How the hell do you help that son of a bitch?

(あんなしょーもない奴とどうやって。)

 

ポール

By taking him fishing.(釣りに誘っただろ。)

 

ノーマン

He doesn't like fishing. He doesn't like Montana.

Sure as hell doesn't like me.

(あいつは釣りもモンタナも、俺のことも嫌いなのさ。)

 

ポール

Well, maybe what he likes is sombody tyring to help him.

(まあな、かまってくれる奴が好きなんだろうよ。)

 

 

最後のポールの一言を、字幕では「人の助けを感じないのさ。」と訳していました。その訳がすごくしっくりきて良かったです。

普段はヤンチャで無理をするポールですが、マクレーン家の中で育まれてきた彼の根底にある人間性を感じられる素敵な訳だと思いました。

 

 

(シーン②)美しく、浮世離れした

 

ノーマンの語り

My brother stood before us, not on a bank of the Big Blackfoot River, but suspended above the earth, free from all its laws....  like a work of art.

And I knew just as surely and just as clearly... that life is not a work of art... and that the moment could not last.

 

私たちの前に立つ弟は、ビッグ・ブラックフット川の河辺ではなく、この世の理を超えた場所に立っていた。まるで芸術作品のように。

でも私にはっきりとはわかっていた。人生は芸術とは違う。永遠などないことを。