メリー・ポピンズ 

(Mary Poppins)1964

監督 ロバート・スティーヴンソン  
キャスト ジュリー・アンドリュース メリー・ポピンズ 
  ディック・ヴァン・ダイク バート / 銀行頭取ドース (二役)
  カレン・ドートレス ジェーン(姉)
  マシュウ・ガーバー マイケル(弟)
  デヴィッド・トムリンソン ジョージ・バンクス(父)
  グリニス・ジョンズ ウィニフレッド(母)
  ハーミオン・バドレー エレン(家政婦) 
  リタ・ショウ ブリル(コック)
  エド・ウィン アルバートおじさん(笑い上戸)
  レジナルド・オーウェン ブーム元海軍提督
  ドン・バークレー

ビナクル(ブームの部下)

  アーサー・トリーチャー

巡査

  エルザ・ランチェスター

ケイティ(最初の乳母)

  アーサー・マレット ドースの息子
  ジェーン・ダーウェル ハトのエサを売る女

ロンドンの桜通り17番地。

東の風と共にバンクス家にやってきた乳母のメリー・ポピンズ。

 

やんちゃな姉弟。

人まかせな母。

厳格な父。

ちぐはぐなバンクス家の日常を魔法で不思議&愉快な世界に誘いみんなハッピー!

 

ディズニー製作のミュージカル映画。

ファミリー向け映画。特に児童向け。

 

(原作)

原作はイギリスの作家パメラ・トラバースの児童文学「メアリー・ポピンズ」シリーズ。(原作の邦題は「メアリー・ポピンズ」、映画の邦題は「メリー・ポピンズ」になってます。どっちもスペルは同じ Mary ですが。)

 

メリー・ポピンズには原作者トラバースの幼少期の体験が色濃く反映されてます。バンクス一家はトラバースの家族がモデルになってます。

作品に対して強い思い入れがあったため映画化には終始難色を示し、製作過程でもダメ出しが多くて苦労したそう。そうした裏話を描いた映画ウォルト・ディズニーの約束」が2013年に公開されてます。

 

(ストーリー、キャラクター)

終盤「やけになった父親が、銀行をクビになり・・・」という展開はありますが、ストーリーにはほぼ筋がありません。

「部屋の片づけ」「お散歩」などの日常が突然不思議な世界に突入し、あとは歌って踊る。その繰り返しです。

「子供向け」「明るくキャッチーな音楽」「陽気で楽しい世界」を徹底してます。

 

メリーは、魔法に関してはとぼけたり、子供たちに対しては突き放したような態度をとる事が多いです。それは愛情の裏返しなのですが、映画だけだとその辺が伝ってきづらいです。

ただ子供たちを甘やかしたり楽しませたりするだけの存在ではないメリーのキャラクターは、原作者トラバースの想いによるものですが、その辺も2013年「ウォルト・ディズニーの約束」で描かれてます。

そういった原作者の背景や想いを分かった上で観るとまた感じ方が変わってくるかもしれません。

 

(アニメーションとの合成)

実写とアニメ―ションの合成シーンがあります。「メリーに誘われた不思議な世界」という設定のシーンなので違和感なく見れますし、俳優とアニメーション・キャラが躍るシーンも巧いです。

ディズニーだけあって、歌や踊りといったエンタメ表現は流石です。

(ディズニーは昔から実写映画も作ってます。実写とアニメを併用した作品も本作の20年以上前から作ってます。)

 

(主演ジュリー・アンドリュース)

舞台ミュージカルで活躍していたジュリー・アンドリュースが映画初主演でいきなりアカデミー主演女優賞を受賞。

翌年には「厳格な家のやんちゃな子供たちのカテキョー」という似たような設定でこれまたミュージカル映画の名作「サウンド・オブ・ミュージック」で主演し、その人気を不動のものにしました。

本作も「サウンド・オブ・ミュージック」もファミリー向けミュージカル映画ですが、ドラマ性や楽曲含めてクオリティーは「サウンド~」の方が一回り上かな。

 

(音楽 シャーマン兄弟)

多くのディズニー映画の楽曲を作ってきたシャーマン兄弟が初めて手掛けたディズニー作品になります。

バートのテーマ曲「チム・チム・チェリー」や「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」が楽しくて好き。

アカデミー作曲賞、歌曲賞を受賞しました。

 

ちなみにシャーマン兄弟の曲で一番有名なのは「イッツ・ア・スモールワールド」でしょう。

(風向計の見方)

メリー・ポピンズは東風と共にやって来る。

という事で、風向きを示すために作中で風向計が映ります。

 

右絵は「東風」を示す風向計。

東風とは、東から西に向かって吹く風。風向計の矢印は風が吹いてくる方(風上)を示します。

つまり風向計の矢印の向きと、風の流れは逆になります。

天気図に書かれる矢印は→の向きの通りに風が流れるので、それとごっちゃにならないよう注意が必要です。

 

(見どころ)

●歌と踊り。ミュージカル映画なので。

 

(好きなところ)

時報大砲。

大砲の衝撃で動く家具に対応しきるバンクス家の人たち。笑える。

 

 

 

 

 

 

54年の時を経て、2018年に続編「メリー・ポピンズ リターンズ」が公開されました。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)バートの予感

 

Wind's in the east

Mist comin' in

Like something is brewin'

About to begin

Can't put me finger on what lies in store

But I feel what's to happen

All happened before

 

東の風が吹き 霧がかかる 何かが始まる予感がする

何が起こるかわからないが、何か起こりそうなこの感じ

確か前にもあったような

 

 

(シーン②)スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス

(Supercalifragilisticexpialidocious)

 

It's supercalifragilisticexpialidocious

Even though the sound of it is something quite atrocious

If you say it loud enough you'll always sound precocious

Supercalifragilisticexpialidocious

 

それは、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス

何だかいけない響きのようだけど 大きな声で叫べばイケてる気分

スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス

 

 

作中(アニメ競馬の後のシーン)で歌われた歌のタイトルですが、

「言うと元気になる」言葉としてメリーが紹介してます。

シャーマン兄弟による造語です。

 

 

(シーン③)義足のスミス

 

Jane says, "I know a man with a wooden leg named Smith."

Michel says, "What's the name of his other leg?"

 

ジェーンが言った。「私はスミスという名の義足の男を知ってるわ。」

するとマイケルが「もう片方の足の名前は?」

 

 

銀行頭取のドースを笑天させた程のギャグですが、日本語では何が面白いのかわかりにくい。

 

「a man with a wooden leg named Smith」という英文。

まず leg が単数形なので義足なのは片足だけです。

普通は named Smitha man に掛かり「義足を付けたスミスという名の男」と読めるのですが、named Smitha wooden leg に掛かり、「スミスという名の義足を付けた男」と読めなくもない。

二通りの解釈ができる文をジョークにしてます。

わかったところで、やはり面白くないのですが…