ドリーム B

(HIDDEN FIGURES)2016

監督  
セオドア・メルフィ  
キャスト  
タラジ・P・ヘンソン キャサリン・ゴーブル
オクタヴィア・スペンサー ドロシー・ヴォーン
ジャネール・モネイ メアリー・ジャクソン
ケビン・コスナー ハリソン
ジム・パーソンズ ポール・スタッフォード(ハリソンの部下)
キンバリー・クイン ルース(ハリソンの秘書)
キルスティン・ダンスト ミッチェル(計算部の責任者)
マハーシャラ・アリ ジム・ジョンソン中佐
グレン・パウエル ジョン・グレン(宇宙飛行士)
オルディス・ホッジ リーバイ(メアリーの夫)
オレク・クルパ ゼリンスキー(カプセル担当技師 メアリー上司)
ドナ・ビスコー キャサリンの母
サニーヤ・シドニー コンスタンス(キャサリンの長女)

1961年。バージニア州ハンプトンにあるNASAのラングレー研究所

有人宇宙飛行でロシアに先を越されてしまい焦る中で、マーキュリー計画(米初の有人宇宙飛行計画)実現のため奮闘した女性たちがいた。

人種差別が公然と行われていた時代、差別と闘いながら、その類まれなる能力でNASAを支えた3人の実在の黒人女性を描いたドラマ作。

 

 

 

(挑戦と戦いと勝利と成功と)

●黒人女性の権利や地位を認めさせるための戦いのドラマ

 

NASAのような先端科学を扱う場所でも、やっぱり差別はあったんだなあ。

原題の hidden の通り、語られる事のなかった人たちの戦いや活躍の物語。

 

アメリカという国は、いつの時代も、みんな何かと対立して争っているような気がします。

人種差別に対する権利や地位についての争い、宗教や政治思想に関する争い、企業内での出世や報酬をかけた争い、様々な訴訟による争い。

差別や敗者を生み出すという大きなデメリットがありますが、「自らの能力を武器として戦い勝ち取ろうとするスピリット」がアメリカという国を強くしてきたという面もあるのかなと思いました。

 

●NASAのサクセス・ストーリー

1962年、ジョン・グレンがマーキュリー・アトラス6号で米初の地球周回軌道飛行に成功します。

米初の有人宇宙飛行はアラン・シェパード。2番目はガス・グリソム。3番目がジョン・グレンになります。最初の2人は弾丸飛行で、周回軌道飛行の初がジョン・グレンになります。

(周回軌道飛行を成功させたことで、同じく周回軌道飛行した露のガガーリンに追いついたことになります。)

 

3人の女性の差別に対する戦いのドラマがメインですが、そこにNASAのチャレンジの物語も組み込まれているため、焦点がぶれてしまい、訴求力が弱くなってしまっている感は否めません。

 

(原作)

マーゴット・リー・シャタリーのノンフィクション小説「ドリーム NASAを支えた名もさき計算手たち」(Hidden Figures: The American Dream and the Untold Story of the Black Women Who Helped Win the Space Race

 

映画では事実と異なる部分もそれなりにあるようです。

特に時系列については異なる部分が多いよう。

本作は1961~62年の設定。ジョン・グレンの周回軌道飛行をクライマックスとして、それに合わせて3人の女性が奮闘する話になっています。

・1958年に前身組織NACAからNASAへと改編された際に、分離トイレなどの差別的な設備はすでに全て無くなっています。

・主人公キャサリンは打ち上げに直前にIBMの計算確認をしてますが、実際は数日前から検算していたそうです。

・1961年時点で、ドロシーはすでに管理職に、メアリーはすでに技術職に就いていました。

 

(見どころ)

●権利を地位を勝ち取れ!

IBMのプログラミングを学んで身に着ける、白人の学校へ通うため判事を説得するなど、自ら行動して戦う主人公たちの勇気とパワーがカッコイイ!

 

特にキャサリンがハリソンに対して分離トイレなど差別的扱いに対しての不満を爆発させてぶつけるシーン、それを受けてハリソンが行動したシーンは熱い。

 

大気圏投入

宇宙系の作品では定番のハラハラドキドキのシーン。1995年「アポロ13」も是非。

 

★★★PICK UP LINES★★★

闘い!

 

リーバイ

A female engineer?  We're Negro, baby.

Ain't no such thing.  Understand it.

(女がエンジニアだって?オレたちは黒人だ。

そなの無理だ。わかってるだろ。)

 

メアリー

It's not like that there, Levi.(今回は違うのよ、リーバイ。)

 

リーバイ

You can't apply for freedom.

Freedom is never granted to the oppressed.

It's got to be demanded, taken.

(虐げられる者には決して自由は与えられない。求めて奪い取るものだ。)

 

メアリー

Stop quoting your slogans at me.

There is more than one way to achieve something.

(そんな受け売りを押し付けないで。成し遂げる方法は1つじゃない。)

 

    (中略)

 

メアリー

You better settle down, Levi Jackson.

Unless you want this female's mind, right here, in front of everybody.

(いい加減にして、リーバイ。人前で私の不満を爆発させたいの?)

 

リーバイ

Alls I'm saying, don't play the fool.

I don't wanna see you get hurt.

NASA's never, ever given you gals your due.

Having a couple of extra degrees ain't gonna change that.

Civil rgihts ain't always civil.

(僕が言いたいのは、バカはやめろってことだ。君が傷つくの見たくない。

NASAが女を認めたりはしない。何か学位を持っていようが変わらない。

権利には闘いが必要だ。)

 

 

※リーバイの最後の台詞 Civil rgihts ain't always civil.

civil は「市民」という意味ですが、「礼儀正しい」という意味もあります。

この civil のダブル・ミーニング(掛けことば)を使っていて、直訳すると

「市民の権利ってのは、常に行儀が良くないもんだ。」

つまり「権利はがむしゃらに戦わないと得られないもんだ」と言ってます。