TENET テネット 

(TENET)2020

監督 クリストファー・ノーラン  
キャスト ジョン・デヴィッド・ワシントン 主人公 
  ロバート・パティンソン ニール (主人公の協力者)
  ケネス・ブラナー アンドレイ・セイター (武器商人)
  エリザベス・デビッキ キャット(セイターの妻) 
  ディンプル・カパディア プリヤ(TENET上層部)
  アーロン・テイラー・ジョンンソン アイブス(TENET部隊 隊長) 
  ヒメーシュ・パテル マヒア(ニールの協力者) 
  ユーリー・コロコリニコフ ボルコフ(セイターの部下)
  クレマンス・ポエジー 主人公に逆行弾を説明
  マーティン・ドノヴァン 主人公をTENETに引き入れた男
  マイケル・ケイン マイケル・グロズビー卿(英の情報提供者)
  デンジル・スミス サンジェイ・シン(ムンバイの武器商人)
  フィオナ・ドゥーリフ ホイーラー(逆行のルール説明した女性兵) 

逆行する銃弾や人

特殊工作員の男に与えられたミッションは未来から送られてきた時間逆行技術を駆使して人類滅亡の企みを阻止すること。

天才ノーラン監督、脚本、製作のSF作。

 

 

 

 

 

(難解な脚本 時間逆行SF&スパイアクション)

逆再生のような不思議でユニークな逆行世界の戦闘シーンと、スパイアクションを組み合わせたSF作。

時間逆行を絡めたストーリーは難解度MAX!

一度見ただけでは全て把握できないし、何度観ても結論はでないかも。

「クルーザーから飛び降りる女」「主人公の腕のケガ」「ニールのバックパック」等、いろんな伏線的出来事を考えるほどにパラドックスに陥っていくような・・・・

作中で主人公が「考えないで、感じて。」と言われてましたが、観客もそれでいいと思います。おおまかなストーリー展開さえわかれば、あと視覚的に

楽しめればいいのかなと。

それができないと難しさばかりが気になってしまう。

考証とか好きな方は、あーでもない、こーでもないと考えるのも楽しいかも

 

タイトルの TENET は作中では「主義」というような意味で使われてました。元はラテン語で「保持する、所有する、理解する」といった意味合い。このタイトルだけでなく、登場人物名もSATORスクエアというラテン語の回文から取られています。

 

(見どころ)

●逆行アクション

不思議な感じの画。でも迫力があるかとういうと、そーでもない。

あえてかと思いますが、回転扉やアルゴリズムのアイテムのデザインがやけにアナログだった。

 

逆行、順行が入り混じる不思議な映像は新しかったですが、そのアイデアや映像を観せて「さあ、どうだ!」と言われているように感じました。

映像に重きを置きすぎて、脚本に物語性が希薄だった気がします。

 

●音楽

緊迫感を煽る音楽が終始響いてきます。

特にオープニングのテロシーンでは、生々しい描写と音楽がマッチして一気に観客を引き込みます。

ノーラン監督作の2012年「ダークナイトナイト ライジング」のアメフト球場のテロシーンを思い起こしたりしました。

 

(好きなところ)

●主演のジョン・デヴィッド・ワトソン(デンゼル・ワシントンの息子)も良かったですが、相棒のロバート・パティンソンが良かったです。

主人公たちの合言葉が「 We live in a twiliht world.」だったのは、パティンソンへのオマージュかな。(トワイライト・サーガ

 

パティンソン以外の男性キャラが、ことごとく濃いめのヒゲ男でした。

ヴィジュアル的にすごい被ってると思うんだけど、あえてかな。

 

(時間の逆行)

●逆行とは

タイムトラベルの一種ではありますが、特定時点の過去へピンポイントに飛ぶワープではなく、対象の時間が逆に流れていくというもの。

2週間前に戻りたいなら逆行世界で2週間の時を過ごさなければなりません。

 

●逆再生モーション

順行者からは、逆行者は逆再生のような動きに見えます。

逆行者からは、順行者が逆再生のように見えます。

どちらの視点で描いているかで逆再生になる方が変わります。

 

作中では分かりやすくするためか、順行は赤色逆行は青色で区別されて描かれています。(兵士の腕章の色など)

また、逆行世界では息ができないので酸素マスクをしてます。

(ただし回転扉のあるゾーンはセーフティ・ゾーン扱いで、マスクなしでOK。)

 

●挟撃作戦

同じ時間を、順行、逆行の両方でミッションを進行させること。

順行―――→

←―――逆行

順行側は、逆行側の動き(結果)を見ながら、優位に立ち回れるようになる。

 

●科学考証

時間の矢、エントロピー、反粒子など物理や数学でいろんな考証をするのも楽しいかもしれませんが、本作はあくまでエンタメ映画。科学的な正しさや、パラドックスの解消を求めるものではないです。

 

落としているか、 取っているか
落としているか、 取っているか

(ノーラン監督と時間ネタ)

ノーラン監督は直近の監督作でも時間を扱った作品を撮ってます。

前作2017年の「ダンケルク」は、ある時点・地点に向かって別々の話が同時進行していく作り。

前々作の2014年「インターステラー」は宇宙で時間の流れが変わるお話。

 

 

しかし、本作と一番近いのは初期作2000年の「メメント」。

時系列を逆にして、因果を入れ替えて描く手法は本作とかなり近い。

 

★★★PICK UP LINES★★★

逆行兵器 女性科学者の説明(一部割愛)

 

One of these bullets is like us, travelling forwards through time.

The others one's going backwards.

 

It's inverted. Its entropy runs backwards.

So, to our eyes, its movement is reversed.

 

Someone's manufacturing them in the future.

They're streaming back at us.

 

If they can invert that, I see no reason they couldn't invert pretty much anything.

Even a nuclear weapon can only affect our future.

An invert weapon might be able to affect our past as well.

 

 

弾は時間を前に進む。でも逆に進むものも。

逆行よ。エントロピーが減少すると、動きが逆再生に見える。

未来の誰かが作って、私たちに送ってきた。

逆行させれられるのは弾だけではないはず。

核兵器は未来を変えるだけ。逆行兵器は過去も変えることができる。