ゼア・ウィル・ビー・ブラッド C
(There Will Be Blood)2007
監督 | ポール・トーマス・アンダーソン | |
キャスト | ダニエル・デイ・ルイス | ダニエル・プレインヴュー |
ポール・ダノ | ポール&イーライ・サンデー | |
ディロン・フレイザー | H・W(ダニエルの息子 子供) | |
ラッセル・ハーバード | H・W(大人) | |
キーラン・ハインズ | フレッチャー(ダニエルの部下) | |
ケヴィン・J・オコナー | ヘンリー(ダニエルの弟) | |
シドニー・マカリスター | メアリー(少女 イーライの妹) | |
デヴィッド・ウィリー | エイベル(イーライの父) | |
デヴィッド・ウォーショフスキー | ティルフォード(買収提案者) | |
ハンス・ハウェス | バンディ(土地を売らなかった男) |
1900年代初頭アメリカ。
次々と石油を掘り当てる石油屋ダニエル・プレインヴュー。強欲に富と利権を求め、他人と闘争し、出し抜き、成り上がった男の人生とその闇を描いた作品。
原作はアプトン・シンクレアの1927年の小説「石油!(Oil!)」。
富や利権に憑かれて成り上がるも、他人を見下し罵倒し、自滅していく男を描いたお話。「スカーフェイス」を思い起こしたりも。
プレインヴューは作中で自ら「人間嫌いで人とは関わりたくない」と言いってます。
その通りなんだと思いますが、家族に対する愛情、執着は見せてます。
血の繋がりはないものの、息子のH・Wへの愛情、突然現れた弟への愛情は本当。でもそれが裏切られた時は激しい憎悪と憤りに一変。
素直になれず狂気に落ちていくプレインヴューを見てるのはつらいですね。
批評家からの評価はとても高い作品ですが、観てて楽しいという映画ではないです。
主演のダニエル・デイ・ルイスは1989年「マイ・レフトフット」に次いで2度目のアカデミー主演男優賞を受賞。
さらに2012年「リンカーン」で史上初となる3度目のアカデミー主演男優賞に輝きます。名優です。本作でも表情が良かったな~。特に横顔に味があります。
プレインヴューに負けぬイカれキャラ 宗教家のイーライを演じたポール・ダノも見事でした。(作中では説明がなかったですが、ダノが演じたポールとイーライは双子の兄弟です。)
ポール・トーマス・アンダーソン監督は本作でベルリン国際映画祭監督賞を受賞。2002年「パンチドランク・ラブ」でカンヌ国際映画祭監督賞、2012年「ザ・マスター」でヴェネツィア国際映画祭監督賞(銀獅子賞)を受賞。
三大映画祭全てで監督賞受賞という快挙を達成しております。
(見どころ)
●激しくも寂しい男の辿る人生
演じたダニエル・デイ・ルイスの表情。
★★★PICK UP LINES★★★
ダニエルと、突然現れた弟ヘンリー
ダニエル
I have a competition in me. I want no one else to succeed.
I hate most people.
(オレには強い競争心がある。他人を成功させたくない。
人間が嫌いだ。)
ヘンリー
That part of me is gone.
Working and not succeeding, all my failures have left me....
I just don't care.
(そんな気持ちはなくなった。働いてもうまくいかず失敗ばかり、どうでもよくなっちまった。)
ダニエル
Well, if it's in me, it's in you.
There are times when I look at people and I see nothing worth liking.
I want to earn enough money I can get away from everyone.
(でも、同じ血は流れてる。オレは他人を見ても何の価値も見いだせない。十分な金を稼いだら、全ての人間から遠ざかりたいよ。)
この会話の後に、ダニエルが見せる笑顔が印象的。
作中でほとんど笑わないダニエルが家族相手に気を許したひと時。
タイトルの there will be blood は「血に染まるであろう」の意。
聖書からの引用のようです。血そのもの以外にも、血縁とか石油とか、そんな意味も含んでるんでしょうか。