リンカーン  SS

(Lincoln )2012

監督 スティーヴン・スピルバーグ  
キャスト ダニエル・デイ・ルイス エイブラハム・リンカーン 大統領
  サリー・フィールド メアリー・トッド(妻)
  トミー・リー・ジョーンズ T・スティーヴンス共和党下院議員
  デヴィッド・ストラザーン スワード国務長官
  ジョゼフ・ゴードン・レヴィット ロバート(長男)
  ガリバー・マクグラス タッド(三男)
  デヴィッド・コスタビル ジェームズ・アシュレイ共和党議員
  リー・ペイス フェルナンド・ウッド民主党議員
  ピーター・マクロビー G・ペンドルトン民主党議員
  ジェームズ・スペイダー ビルボ(ロビイスト) 
  ジョン・ホークス レーサム(ロビイスト)
  ティム・ブレイク・ネルソン シェル(ロビイスト) 
  グロリア・ルーベン ケックリー(リンカーン家黒人家政婦) 
  スティーヴン・ヘンダーソン スレード(リンカーン家使用人)
  ジャレッド・ハリス グラント将軍(北軍将軍)
  ハル・ホルブルック プレストン・ブレア(共和党重鎮) 
  ジュリー・ホワイト プレストンの娘
  バイロン・ジェニングス プレストンの息子
  ジャレッド・ハリス スティーヴンズ(連合国副大統領) 
  マイケル・スタールバーグ イェーマン(寝返り民主党員)
  ウォルトン・ゴギンズ ホーキンス(寝返り民主党員)
  デヴィッド・ウォーショフスキー ハットン(寝返らない民主党員)
  ボリス・マクギヴァー コフロス(寝返り民主党員)

ジェレミー・ストロング
ニコレイ(リンカーン家執事)
  ビル・キャンプ ジョリー
  エリザベス・マーヴェル ジョリー夫人
  グレインジャー・ハインズ ウェルズ海軍長官
  ブルース・マクギル スタントン陸軍長官

ルーカス・ハーン
白人北軍兵士

デイン・デハーン
白人北軍兵士
  デヴィッド・オイェロウェ アイラ・クラーク(北軍黒人兵士)
  コールマン・ドミンゴ ハロルド・グリーン(北軍黒人兵士)

 

第16代合衆国大統領エイブラハム・リンカーン。歴史上初めて暗殺された大統領。

1862年奴隷解放宣言、1863年ゲスティバーグ演説を経て、1864年大統領に再選し奴隷解放を確実なものとするため憲法修正第13条の成立を目指すリンカーンを描いた硬派なドラマです。

 

日本人でも名前くらいは誰でも知っている大統領。最も人気のある大統領の1人。

初代ワシントン、F・ルーズベルト、そしてリンカーンが不動のトップ3ですね。

リンカンーンの人生、やったことを説明してたらきりがないですが、DVDでは本編の前にスピルバーグ自身が、奴隷解放をめぐる南北戦争等、当時の時代背景をごく簡単に説明してました。

登場するのはヒゲ面のおっさん達ばかりで顔の区別もつきにくいし、

話も票の切り崩し工作など固い政治ドラマ。アメリカの歴史・政治にも詳しくない日本人にはとっつきにくいかもしれませんが、強さと優しさを持った男の素晴らしいドラマになってます。

 

冒頭で黒人兵士が「100年後には選挙権・・・」と言ってますが、

ちょうど100年後の1964年に公民権法、1965年に投票権法が成立します。

そこからさらに45年後には黒人大統領が誕生してます。

 

(見どころ&好きなところ)

●ダニエル・デイ・ルイス演じる究極の理想的指導者リンカーン

悲惨な戦争の終結と修正第13条成立との間で、また共和・民主両党内の政治勢力との間で、夫として父として、苦悩しながらも強い意志を持ち続けて状況を打開していこうとするリンカーンをダニエル・デイ・ルイスが神演技で見事に演じきってます。

文句無しのアカデミー主演男優賞受賞。

あんな指導者がいたら、愛おしいなと思えます。

それにしてもダニエル・デイ・ルイスの演技は見事!

顔もかなり本人に似せてます。チンパージーっぽい。

表情、顔のしわ、ゆっくりな動き、長身でありながら威圧感を感じさせないうつ向き気味な姿勢、穏やかな物腰、場を和ます柔和な人柄、秘めたる強さ、リンカーンという人物の人となりを全身全霊で体現しようとしている。

(ちなみにリンカーンの身長は193センチで歴代大統領で1番高いです。

演じたルイスは187センチだそう。)

 

実際のリンカーンはもうちょっと現実的な政治家だったのかもしれません。

黒人奴隷解放に尽力した彼ですが、インディアンには迫害的な政策をとっていたという面もあります。

本作で描かれるリンカーンは後世の人間が彼に抱く理想的イメージの全てを投影したようなキャラになっているんだと思います。

そういう理想を描いて観る者を楽しませたり、希望を与えたりしてくれるのが映画だと思います。

 

●もう一人のヒーロー、スティーヴンス議員

トミー・リー・ジョンズ演じる共和党の急進派です。

「法の前の平等」演説が見せ場ですね。

彼がなぜそこまで強行な奴隷解放推進者なのか、最後に明らかになります。

実際、そういううわさはあったようです。

 

当時は今と逆で、共和党がリベラル、民主党が保守でした。

 

★★★PICK UP LINES★★★

 Thirteenth Amendment to the United States Constitution

 アメリカ合衆国憲法修正第13条

 

Section 1.

Neither slavery nor involuntary servitude, except as a punishment for crime whereof the party shall have been duly convicted, shall exist within the United States, or any place subject to their jurisdiction.

 

Section 2.

Congress shall have power to enforce this article by appropriate legislation.

 

 

 第1節 

奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。

 

第2節 

議会はこの修正条項を適切な法律によって実行させる権限を有する。

 


※修正条項

「修正」というと、すでにある文章や文言を変更するようなイメージかもしれませんが、合衆国憲法における「修正」は、すでにある条文はそのまま残して、追加で修正条項を足していくというものです。

憲法本文は7条。現在、追加された修正条項は1~27条まであります。