黒人クリスと白人ローズのカップル。ローズの実家を訪問し、両親から快く歓迎さるれものの、黒人の使用人たちの存在や態度に違和感を覚えるクリス。

違和感の正体は悪夢となりクリスを襲う！

 

恐怖映画の老舗ブラウハウス･プロダクションが贈るスリラー・ホラーの良作。

 

（募る不信感と恐怖、そして絶望へ）

一見やさしそうで外面のいい集団の中で少しずつ違和感を感じ、徐々に恐怖へと変わっていく様をじっくりと描いてます。

黒人使用人の異様な笑顔が怖すぎる。

クリスのオークションが行われるシーンなんかゾクッときますね。

恋人ローズの変わり様も怖い。

 

（アカデミー脚本賞 受賞！）

アフリカ系のコメディ俳優として活躍していたジョーダン・ピールの初監督作。

脚本も自身で執筆し、見事アカデミー脚本賞を受賞しました。

 

「催眠術で自由を奪い、脳ミソをとっ替えて他人の体を奪う」

そんなB級感満載のネタを使った娯楽作ですが、B級スリラーの中に人種差別という社会派要素を上手く取り込んだことで高い評価を得ました。

自らも黒人である監督自身の体験も多分に反映されているそうです。

監督は「この作品はドキュメンタリーだ」という発言もしていて、白人社会の中で黒人が感じている違和感、不安、恐怖を極端にして描いている感じでしょうか。

 

黒人が狙われる理由が「黒人が嫌い」だからではなく、「エネルギッシュな黒人になりたい」というところが何とも皮肉。

 

受賞こそなりませんでしたが、アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞にもノミネートされました。

スリラー・ホラーのエンタメ作がノミネートされるのは珍しい。

過去のトラウマを利用されて苦しむ主人公クリスを演じた主演ダニエル・カルーヤの演技は良かったです。

 

もっとシンプルにスリラーとホラーを楽しみたければ、よく似たプロットの2019年「レディ・オア・ノット」がおススメ。