風と共に去りぬ 

(GONE WITH THE WIND)1939

監督  
ヴィクター・フレミング  
キャスト  
ヴィヴィアン・リー スカーレット・オハラ 
クラーク・ゲーブル レット・バトラー 
オリヴィア・デ・ハヴィランド メラニー
ハティ・マクダニエル マミー(オハラ家メイド)
レスリー・ハワード アシュレー(メラニーの夫)
トーマス・ミッチェル ジェラルド・オハラ(スカーレット父)
バーバル・オニール エレン・オハラ(スカーレット母)
イヴリン・キース スエレン(スカーレット妹)
アン・ラザフォード キャリーン(スカーレット妹) 
オナ・マンスン ベル(娼婦 レットの友人)
ランド・ブルックス チャールズ(メラニーの兄 スカーレットの最初の夫)
ローラ・ホープ・クルーズ ピティパット(メラニーの叔母 気絶キャラ)
キャロル・ナイ フランク・ケネディ(スカレーットの2番目の夫)
ハリー・ダベンポート ミード医師
レオーナ・ロバーツ ミード夫人 
オスカー・ポルク ポーク(召使い)
エヴァレット・ブラウン ビッグサム (召使い)
バタフライ・マックイーン プリシー(下女) 
アリシア・レット インディア(アシュリーの妹) 

1861年アメリカ。

南北戦争が始まった!

 

ジョージア州アトランタ近くの綿のプランテーション農園 タラで生まれ育った若く美しく勝気な女スカレーット

 

戦争による混乱の風が吹き荒れる南部で、愛を求め、激しく逞しく生き抜く女の半生を描いた壮大な叙事詩。

 

(原作小説、超絶ヒット)

原作は1936年に出版されるやいなや大々ベストセラーとなったマーガレット・ミッチェル著の同名小説。

辣腕映画プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックがすかさず映画化権を買い取り、すぐにキャスト選びがスタート。

小説出版から3年後には映画が公開となりました。

 

(映画化へ スカーレット・フィーバー)

スカーレット役の女優探しには大々的な募集宣伝広告が打たれて話題沸騰。ハリウッドのほぼ全ての女優が応募。

セルズニックの事務所には「原作を一切に変えずに、そのまま映画化してください」という原作ファンからの手紙が大量に届いたそう。

最終的に選ばれたのはアメリカ人ではなくイギリス人のヴィヴィアン・リーでした。

 

(映画も超絶ヒット)

大ヒットした小説の映画化。220分の大作。当時としてはまだ珍しい長編映画のカラー作等々の話題性もあり、映画は世界中で大ヒット。

映画歴代興行収入ランキング1位は2009年「アバター」ですが、インフレ率(貨幣価値)を調整したランキングでは本作「風と共に去りぬ」がいまだに圧倒的な歴代No.1を誇ります。

 

アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞など計10部門を受賞。

助演女優賞については、本作からメラニー役オリヴィア・デ・ハヴィランドとメイドのマミー役ハティ・マクダニエルの2人がノミネート。

一作品から同賞で2人がノミネートされるのは異例。

ハティ・マクダニエルが受賞を果たし、初めてオスカーを手にした黒人となりました。

 

興行面でも批評面においても大成功を収め、映画史に燦然と輝く名作として刻まれる作品となりました。

 

(見どころ)

●混乱の時代を生き抜いた2人の女性スカーレット・オハラ と メラニー

〈勝ち気で、利己的で、小生意気な南部女スカーレット〉

追い込まれ、ここぞという時に見せる強さが魅力的なキャラですが、多くの人から共感を得て好かれるタイプのキャラではないように思います。

私も全然共感はできなかった。

〈道徳的で慈愛に満ちた大人の女性メラニー〉

激情型のスカーレットと対をなす存在であるメラニーの方がオーソドックな主人公タイプのキャラクターな気がします。

作中ではずっとスカーレットと共に歩み、スカーレットに頼る部分もありつつ、逆にメラニーがスカーレットを精神的に支える芯の強さも持った女性。

 

混乱の時代を生き抜く主人公としては、スカーレットのようにタフで、熾烈で狡猾さも持った女性の方がふさわしいのでしょう。

アメリカらしいなと思います。

移民の国として、いつの時代も様々なコンフリクトを抱えながらも、だからこそ生まれる強さを体現したキャラ、お話だなと感じました。

 

●オールド・サウス

アメリカ南部の一時代の終焉を描いた物語でもあります。

奴隷制度で運営するプランテーション農園で栄えていたアメリカ南部。

土地がその基盤であり、作中では常にスカーレットの心の拠り所となっています。

彼女が生まれ育ったタラの地はアトランタ近くにあるという架空の地になります。 (原作者のマーガレット・ミッチェルはアトランタ出身)

 

完全に当時の白人の物語になっているので、奴隷制度の描写に批判的な意見もあるようです。

 

●スカーレットとレット 激しい愛の物語

レット曰く「利己的だが強い意志を持った似た者同士」の2人。

互いに惹かれるところはあるけれど、いざ一緒になるとそのストレートな激しさ故か、衝突も多く。

そうなってしまうのもすごいわかるし、でもせっかく一緒になれたのにすごい悲しい。

それでも、それでも前を向いていくのがスカーレット!

 

(好きなところ)

●ザ・大人の男レット・バトラー

大人の余裕と色気たっぷりの魅力的な男。

自分には無い、成熟した大人の魅力を備えているので、身近にいたら、嫌味に思っちゃいそう、嫉妬しちゃいそう。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)冒頭

There was a land of Cavaliers and Cotton Fields called the Old South.

Here in this pretty world Gallantry took its last bow.

Here was the last ever to be seen of Knights and their Ladies Fair, of Master and of Slave.

Look for it only in books, for it is no more than a dram remembered.

A Civilization gone with the wind....

 

騎士道と綿畑の広がるその地を、人はオールド・サウス(古き良き南部)と呼んだ。その美しく気高き世界は終わりを告げ、猛き騎士も華麗な女たちも奴隷やその支配者たちももはや見ることはなく、ただ書物や人の心に残るのみ。風と共に去った時代なのである。

 

※この冒頭の台詞は英の詩人アーネスト・ダウスンの詩の引用になります。

 

(シーン②)似た者同士

レット

There's one thing I do know, and that is I love you, Scarlet.

In spite of you and me and the world going to pieces, I love you.

Because we're alike. Bad lots, both of us.

Selfish and shrewd, but able to look things in the eye and call them by name.

 

一つだけ確かなのはオレは君を愛している、スカーレット。

たとえ世界が砕けようともこの愛は変わらない。

オレたちは似ているからね。お互い欠点も多い。

利己的で抜け目ない。でもこうと決めたらやり通す強さがある。

 

(シーン③)タラの地

 

スカーレット

Then there's nothing left for me.

Nothing to fight for.  Nothing to live for.

(私にはもう何もない。戦う目的も、生きる望みも。)

 

アシュレー

Yes, there is something.

Something you love bettr than me..... though you may not know it.

Tara. 

(いいや、あるとも。僕よりもずっと愛するものが君にはあるじゃないか。

タラだよ。)

 

(シーン④)ラストシーン それでも前へ、スカーレット!

 

スカーレット

Tomorrow is another day!(明日に望みを託して!)

 

 

名セリフがいくつもあるこの作品の中で、ラストを飾り最も有名な台詞。

タイトルにある「風」を掛けて「明日は明日の風が吹く」など、いろんな訳が付けられているようです。

 

どう訳すかはその人次第。

この作品220分を観きったあなたが抱いたスカーレット像に合わせて自分なりにしっくりくるものを考えてみては。

 

個人的には自分が観たBlu-rayの訳「明日に望みを託して」がいいかなと。

「明日は明日の風が吹く」は楽観的過ぎる感じが。

自分の中ではスカーレットは楽観ではなくポジティブ&タフネスなイメージなので。