オリエント急行殺人事件 B

(MURDER ON THE ORIENT EXPRESS)1974

監督 シドニー・ルメット  
キャスト アルバート・フィニー エルキュール・ポアロ 
  リチャード・ウィドマーク ラチェット(ギャング)
  アンソニー・パーキンス マックィーン(ラチェットの秘書)
  ジョン・ギールグッド ベドウズ(ラチェットの執事)
  ローレン・バコール ハバード夫人
  ショーン・コネリー アーバスノット大佐
  ヴァネッサ・レッドグレイヴ デブナム(家庭教師の女性)
  イングリッド・バーグマン オルソン(伝道師の女性)
  ウェンディ・ヒラー ドラゴミロフ(ロシアの公爵夫人)
  レイチェル・ロバーツ シュミット(ドラゴミロフのメイド)
  マイケル・ヨーク アンドレニ伯爵(ハンガリー外交官)
  ジャクリーン・ビセット エレナ(アンドレニの妻)
  コリン・ブレイクリー ハードマン(探偵)
  デニス・クイリー フォスカレッリ(自動車販売イタリア人)
  ジャン・ピエール・カッセル ピエール・ミッシェル(車掌)
  マーティン・バルサム ビアンカ(列車会社重役 ポアロ友人)
  ジョージ・クールリス コンスタンティン医師
    ※青字は12の容疑者(伯爵夫妻はセット)

イスタンブール発、カレー行きのオリエント急行に乗車した名探偵ポアロ

様々な国の、様々な経歴を持った個性的な乗客たちと乗り合わせる中、その一人が刺殺体となって発見される。

乗客への聞き取り調査を行い、かつてアメリカで起きた誘拐殺人事件が乗客たちを繋げる接点であることが判明。

「灰色の脳細胞」がたどり着いた事件の真相とは!

 

アガサ・クリスティの小説ポアロ・シリーズ8作目で、1934年発表の傑作ミステリー「オリエント急行殺人事件」が原作

登場人物の役名に若干の違いはあるものの、ストーリーは原作とほぼ同じ。

 

BGMは要所だけに絞り、車内の会話劇中心に淡々と話が進んでいきます。

キャラ作りもあると思いますが、ポアロの大きな声の仰々しい話し方はいかにも舞台劇風。

ミステリーそのものよりかは、豪華なキャストの共演を楽しむ作品な気がします。

 

(名探偵ポアロ)

1920年に発表されたアガサ・クリスティの処女作「スタイルズ荘の怪事件」で初登場。ベルギー人。第一次世界大戦でイギリスへ亡命。

フランス語圏のベルギー南部出身のためフランス語が堪能。

英語はたどたどしい時も。

日本語表記では「ポワロ」と「ポアロ」で表記ゆれがあります。

作中の演者たちの発音を聞いても、どちらにも聞こるえので、どちらでもいいと思います。

 

(ポアロと言えば・・)

1989~2013年にかけて製作されたイギリスのTVドラマ「名探偵ポアロ」でポアロを演じたデイヴィッド・スーシェや、その吹き替えを担当した熊倉

一雄さんのチャーミングなお声が印象に残る人も多いのでは。

 

本作はそのドラマよりもずっと前に製作されたもので、原作にあるように「丸いおなかの小男」「卵型の頭」「尊大な口ヒゲ」といった特徴を再現したビジュアルになっています。

自信家で、神経質な癖のある紳士で、容疑者を厳しく追及する凄みは持っているが、人を食ったような態度で笑ったり、丸みを帯びた体形や口ヒゲから、滑稽でユーモラスな印象も持つキャラクター。

おおまかな外見やキャラ設定は、英ドラマのデヴィッド・スーシェ版にも引き継がれていると思います。

 

 (豪華なキャスト)

ショーン・コネリーローレン・バコールイングリッド・バーグマンなど、豪華なキャストで話題になった作品でもあります。

イングリッド・バーグマンはアカデミー助演女優賞を受賞しました。

出演シーンはかなり短かったですが。

(バーグマンは3度目のアカデミー賞受賞となりました。1944年「ガス燈」と1956年「追想」で、2度アカデミー主演女優賞を受賞してます。)

 

ポアロ役のアルバート・フィニーはすでに映画や舞台で活躍していましたが、当時30代後半で、ポアロを演じるにはかなり若かったですが、演技力を買われての抜擢となりました。

 

監督のシドニー・ルメットは硬派な社会派作のイメージがありますが、本作はスターキャストのエンタメ作に仕上げてます。

 

(ラスト・シーンの乾杯)

犯行の動機や事情を考慮したポアロは、犯人たちの逃げ道となる推理を残して、その場をあっさり立ち去って行きます。ちょっといぶかしげな表情で。

「正義が勝った」とばかりに祝杯を上げる犯人たちには、ちょっと違和感を覚えました。

ルメット監督曰く「演者たちのカーテンコール的なシーン」があるといいなと思ったそう。

 

(モデルとなった誘拐事件 ~リンドバーグ愛児誘拐事件~)

犯人たちの接点であり、犯行動機となったアームストロング家誘拐殺人事件のモデルとなった実際の事件が1932年のリンドバーグ愛児誘拐事件です。

大西洋横断飛行を成し遂げたアメリカの飛行機乗りリンドバーグの1歳8か月の長男が誘拐され、身代金を支払ったにも関わらず殺害された事件です。

2年後に容疑者が捕まり死刑となりましたが、冤罪説もあったりします。

 

(見どころ)

●原作キャラを再現したポアロ なんかペンギンみたい。

●犯人たちがラチェットたちを順番に刺していくシーン

ブルーライトを使った演出が効いて、犯人たちの悲しみや覚悟など悲壮な感じが伝わってきました。

 

★★★PICK UP LINES★★★

殺されたラチェットに対して・・・

 

アーバスノット大佐

Then, in my opinion, Ratchett deserved what he got.

Though I'd sooner have seen him properly tried by jury.

Trial by 12 good men and true is a sound system.

 

ラチェットは当然の報いを受けたという事でしょう。

じきに陪審でしっかりと裁かれる事になっただろうがね。

12人の善良な人たちによってね。

 

 

 

原作小説の初訳の邦題タイトルは「12の刺傷」だったそう。

いや、確かにそこがミソだけど、ちょっとキワドいタイトル・・・

 

         同原作作品  
1974年 オリエント急行殺人事件
2017年 オリエント急行殺人事件
     
     その他 ポアロ映画作  
1931年 アリバイ   
1931年 ブラック・コーヒー (イギリス映画)  
1932年 ブラック・コーヒー(フランス映画)  
1934年 エッジウェア卿の死   
1965年 アルファベット殺人事件   
1978年 ナイル殺人事件   
1982年 地中海殺人事件   
1988年 死海殺人事件