オリエント急行殺人事件 (2017) S

(MURDER ON THE ORIENT EXPRESS)2017

監督 ケネス・ブラナー  
キャスト ケネス・ブラナー エルキュール・ポアロ 
  ジョニー・デップ ラチェット(ギャング)
  デレク・ジャコビ マスターマン(ラチェットの執事)
  ジョシュ・ギャッド マックィーン(ラチェットの秘書)
  ミシェル・ファイファー ハバード夫人
  デイジー・リドリー デブナム(家庭教師の女性)
  レスロー・オドム・Jr Dr.アーバスノット
  ペネロペ・クルス エストラバドス(宣教師の女性)
  ジュディ・デンチ ドラゴミロフ(ロシアの公爵夫人)
  オリヴィア・コールマン シュミット(ドラゴミロフのメイド)
  ウィレム・デフォー ハードマン教授
  セルゲイ・ポルーニン アンドレニ伯爵(ダンサー)
  ルーシー・ボイトン エレナ(アンドレニの妻)
  マヌエル・ガルシア・ルルフォ マルケス(自動車セールスマン)
  マーワン・ケンザリ ミッシェル(車掌)
  トム・ベイトマン ブーク(列車責任者)
    ※青字は12の容疑者(伯爵夫妻はセット)

イスタンブール発、カレー行きのオリエント急行に乗車した名探偵ポアロ

季節外れの満車で、一等車両では様々な国籍の、様々な経歴を持った乗客たちと乗り合わせる中で、乗客の一人が殺害される。

鋭い観察眼と推理力で乗客への聞き取り調査を行い、かつてアメリカで起こった誘拐殺人事件が乗客たちを繋げる接点であることが判明。

捜査に苦戦を強いられる「灰色の脳細胞」がたどり着いた事件の真相とは!

 

 

アガサ・クリスティの小説ポアロ・シリーズ8作目。

傑作ミステリー「オリエント急行殺人事件」の映画化作。

1974年以来の2度目の映画化となります。

 

登場人物の役名や設定に若干の違いはあるものの、ストーリーは原作、前作とほぼ同じ。

1974年版はずっと列車の中でしたが、本作では車外に出たり、ポアロにアクション・シーンがあったりと、動きを付け足してエンタメ度のアップを計ってます。

結末は同じですが、ラストの印象はかなり変わってます。

 

「豪華キャストで大ヒットした1974年版」や「デヴィッド・スーシェ主演で14年に渡り製作された英のTVドラマシリーズ」など、すでに成功している映像作品があるので、製作には相応のプレッシャーもあったかとは思いますが、新しいものを作ろうとするチャレンジ精神によって古典名作の魅力を新たな時代に蘇らせた良作だと思います。

 

(新たなポアロ像)

これまでのポアロ

原作に「丸いおなかの小男」「卵型の頭」「尊大な口ヒゲ」とあるので「1974年版」や「英ドラマのデヴィッド・スーシェ版」は、それを再現したビジュアルになってます。

自信家で、神経質な癖のある紳士で、容疑者を厳しく追及する凄みは持っていますが、人を食ったような態度で笑ったり、丸みを帯びた体形や口ヒゲから、滑稽でユーモラスな印象も持ったキャラクター。

 

本作のポアロ

全体的に「丸み」はなく、笑う事もほとんどありません。神経質さや威厳を強く押し出したビジュアルになってます。

それでいて、尊大さをマシマシにした口ヒゲのおかげでユーモラスでチャーミングな印象も持ち合わせています。

 

 (豪華なキャスト)

●1974年版の映画が豪華キャストで話題になった事も意識したのか、本作もかなり豪華なキャスティングです。

客寄せとしての一番の目玉はジョニー・デップでしょうか。

またリドリー・スコット監督(スコット・フリー)が製作を務めています。

 

(見どころ)

●善と悪、その狭間のドラマ

善と悪の間で苦悩するポアロや犯人。

犯人探しのミステリーとしてはもちろん、ヒューマン・ドラマとしても見応えがあります。この辺は1974年版では薄かったです。

 

やはり最後に犯人たちと対峙するシーンがいいですねー。

苦悩、悲しみ、憤り、いろんな感情を湛えて犯人に向かうケネス・ブラナーの鬼気迫る演技がいい。

 

犯罪者は決して見逃せない性分のはずですが、ポアロ自ら「犯人たちの逃げ道となる推理」を提供している所に彼の人間性も感じます。

自ら敗者に甘んじたポアロのやり切れなさが滲みます。

 

(好きなところ)

監督兼主演のケネス・ブラナー版のポアロ

ウリりは、これまでのポアロにはなかったカッコよさや力強さ。

スティック・アクションも良かったです。

 

~ ラストシーン 次作へ ~

 

列車を降りたポアロに、

There's been a murder, sir, right on the bloody Nile.

(殺人事件です。ナイル川で。)

 

→次作「ナイル殺人事件」へ

 

 

「ナイル殺人事件」(ナイルに死す)も1978年に一度映画化されます。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(自信満々ポアロさん①)

ポアロ

I have the advantage...  I can only see the world as it should be.

And when it is not, the imperfection stands out like the nose in the middle of a face.

It makes most of life unbearable.

But it is useful in the detection of crime.

(私には強みがある。世の中をあるべき姿で見ることができる。

そしてあるべき姿ではない時、その不完全さが、顔の真ん中にある鼻のように目について仕方ない。これはとても生きづらいことだが、犯罪捜査には役立つ。)

 

地元官憲

But it's as though you see into their hearts and divine their true natures.

(人の心の中や本質を見抜くのですね。)

 

ポアロ

And whatever people say, there is right, there is wrong.

There is nothing in between.

(この世には所詮、善と悪しかない。その間はないのだよ。)

 

 

(自信満々ポアロさん②)

ハードマン教授

And why you?(なぜあんたが?)

 

ポアロ

My name is Hercule Poirot and I am probably the greatest detective in the world.

(私はエルキュール・ポワロ。おそらく世界一の探偵です。)

 

 

(自信満々ポアロさん③)

ポアロ

You tell your lies and you think no one will know.

But there are two people who will know.  Yes, two people.

Your God.... and Hercule Poirot.

(嘘を重ねれば、騙し通せるとでも思ったか。

だが騙せぬ者が2人いる。そう2人。神とこのエルキュール・ポアロだ。)

 

         同原作作品  
1974年 オリエント急行殺人事件
2017年 オリエント急行殺人事件
     
     その他 ポアロ映画作  
1931年 アリバイ   
1931年 ブラック・コーヒー (イギリス映画)  
1932年 ブラック・コーヒー(フランス映画)  
1934年 エッジウェア卿の死   
1965年 アルファベット殺人事件   
1978年 ナイル殺人事件   
1982年 地中海殺人事件   
1988年 死海殺人事件