永遠のこどもたち  S

(EL ORFANATO)2007

監督 J・A・バヨナ   
キャスト ベレン・ルエダ ラウラ 
  フェルナンド・カヨ カルロス(夫)
  ロジェール・プリンセプ シモン(息子(養子))
  マベル・リベラ ピラール(心理学者) 
  モンセラート・カルーヤ ベニグナ
  ジェラルディン・チャップリン アウローラ(霊媒師) 
  エドガー・ビバル 太っちょの研究者

幼い頃、孤児院で育ったラウラ。

今は空き家となったかつての孤児院に、夫と息子と共に移り住んで新たな生活をスタートさせるが、ある日、最愛の息子シモンが姿を消してしまう。

必死でシモンを探す中で、かつて孤児院で起きた恐るべき事件が明らかに。

果たしてラウラは息子シモンと無事再会できるのか!?

 

ギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務めたスペインのホラー映画。

前年2006年公開のデル・トロ監督作、「パンズ・ラビリンス」とダークで悲しくて、救いのない雰囲気が多少似てるかもしれません。

「パンズ・ラビリンス」にはファンタジー要素がありましたが、本作はほぼほぼホラーです。

 

「家系ホラー」のテンプレートな感じで話が進んで行きますが、前半のふりを、終盤できっちりと回収しつつ、真相を浮き彫りにしていく巧い脚本。

 

 (参考:家系ホラーのテンプレート一例)

「空き家だった屋敷に一家で引っ越してくる(犬や猫がいることも)」

「閉めたはずのドア・窓が開いてたり、物音がしたり不思議な事が起こる」

「幼い子供が独り言。なにか居るの?見えてるの?」

「鏡になんかヤベー奴が映って振り返っても何もいない」

「夫に言っても相手にされない」

「調べてみると、この家ではかつて凄惨な事件が!!」

 

スペイン語原題の orfanato は「孤児院」「児童養護施設」。

邦題は、なかなか気の利いたいい題だと思います。

 

(見どころ)

●シモン(息子)失踪の真相と救いなきラスト。

子どもたちの霊がラウラを追い詰めていくわけですが、直接的に攻撃してくるわけではなく、じわじわと追い詰めて自滅を誘ってくるのがいやらしくて、より残酷。

ラウラはラストで自死を選び、この世ならざる世界で、息子やかつての孤児院仲間と過ごす道へと進みますが、そもそも息子シモンの事故死も、自分の自殺も子供たちの霊によって誘発された事で、完全に引きずりこまれた格好です。そして、最後に夫までもが死の世界に引きずり込まれることを予感させる1シーンで締めてます。

 

(好きなところ)

●オープニング・クレジット

子供たちの手が壁紙をビリビリ破っていく画が不気味な感じで良かった。

 

●「だるまさんがころんだ」

最強に怖い「だるまさんがころんだ」。ふりを回収した巧い演出。

 

「だるまさんがころんだ」をホラーネタにしたものでは、「神様の言うとおり」(日本のマンガ、映画)や、「ホラーSENSE ~だるまさんがころんだ~」(日本のアーケード、PSVRゲーム)があります。

 

★★★PICK UP LINES★★★

スペインの「だるまんがころんだ」

 

Uno, dos, tres, tocal la pared.

(1、2、3、壁をタッチ。)

 

 --------------------------------------------------------------------------

~世界各国の「だるまさんがころんだ」~

 

(アメリカ)「Red light, Green light」(赤信号、青信号)

鬼が「グリーンライト(青信号)」と言って後ろを向いている間は動ける。

鬼は任意のタイミングで「レッドライト(赤信号)」と言って振り返る事ができる。その時、動いていた人はアウト。

日本と真逆なのは、鬼役(信号機役)になることを目指している事。

 

(イギリス)「Grandmother's Footsteps」(おばあちゃん歩き)

掛け声がないのが特徴。

鬼が後ろを向いている間は動けて、振り返ったら止まる。

 

 

(スペイン)「Un, dos, tres, chocolate inglés」

      (1、2、3、チョコラテ・イングレス(イギリスのチョコ)

 

作中では、Uno, dos, tres, tocal la pared.(1、2、3、壁をタッチ。)と

言ってました。

1、2、3、の後はいろんなバージョンがあるようです。

 

(ヨーロッパはじめ、その他の国々)

スペインと同じように、「1、2、3、」で始まり、その後に一言付ける国が多い。最後の一言は国や地方で異なります。