エレファント C

(Elephant)2003

監督  
ガス・ヴァン・サント  
キャスト  
ジョン・ロビンソン ジョン
アレックス・フロスト アレックス(銃撃犯 黒髪)
エリック・デューレン エリック(銃撃犯 金髪)
イライアス・マッコネル イーライ(写真家)
ネイサン・タイソン ネイサン(ジョック)
キャリー・フィンクリー キャリー(ネイサンの彼女)
クリスティン・ヒックス ミシェル(ダサい女子)
アリシア・マイルズ アケイディア(ジョンにキス)
ブリタニー・マウンテン ブリタニー(女子トリオ)
ジョーダン・テイラー ジョーダン(女子トリオ)
ニコル・ジョージ ニコル(女子トリオ)
ベニー・ディクソン ベニー(アフリカ系 瞬殺される)
ティモシー・ボトムズ ジョンの父
マット・マロイ ルース校長

アメリカのとある高校。

とある生徒たちの日常。

しかしその日常は唐突に破られた

 

1999年コロンバイン高校銃乱射事件を題材にした作品。

犯人の高校生2人(自殺)を含む、15名が亡くなった悲惨な事件。(題材にはしていますが、事件を正確に再現したものではありません。)

 

カンヌ映画祭で、パルムドールと監督賞を同時に受賞しました。

 

(同時受賞は稀。カンヌでは1つの作品が複数の賞を受ける事がほとんどない。)

 

(高校生の日常と非日常)

名前が紹介される登場人物の高校生たち。

事件を特定の人物の視点から描くのではなく、その日に高校にいた生徒たち

をカメラが後ろから追う形で撮るフォロー・ショットを多用して、それぞれの日常を、それぞれの視点から淡々と描いていきます

 

いろんな生徒がいます。

家族に問題を抱える人、部活動を楽しんでいる人、ガールズトークに花を咲かせる人、居づらさを感じる人、ジョックにクイーンビー、いじめられる人。そんな、当たり前と言えば当たり前の学校の風景を描いていくことで、事件の悲惨さが浮き立たち、問題提起されているような作り。

 


(好きなところ)

複数の登場人物が同時に登場するシーンを、キャラクターごとの視点で繰り返し描いたところ。

いろんな生徒が、いろんな場所で、お互いに気づくこともなく交差していく日常。そして事件によって死ぬ者、生きる者。

人生とか運命とか、そういうものの無常さや哀しさが漂ってくる演出になっていたと思います。

 

●「エレファント」

1989年の英の短編TV映画「エレファント」からそのままタイトルを拝借しています。

北アイルランド紛争を題材にした作品で、台詞はほとんどなくフォローショットを多用し、18件の殺人を淡々と描いた作品。

 

 

撮影方法や、特定の見解によらない作りが本作と共通しているよう。

ガス・ヴァン・サント監督は、1989年「エレファント」のプロデューサーだったダニ―・ボイルに了承を得てタイトルにしたそうです。

 

2006年「明日、君がいない」は本作とほとんんど同じ撮影手法で撮られています。

 

●コロンバイン高校銃乱射事件

本作中でもいじめの描写が少しだけありましたが、犯人2人は日常的にかなりのいじめを受けていました。

生徒12名、教師1名を殺害。警官との撃ち合いもあり、最終的には犯人2人も自殺。事件発生から2人が自殺するまで45分の出来事。

事件後、警察の不手際や銃規制論議が取り沙汰されましたが、その後もアメリカでは銃乱射事件が頻発しています。

 

本作前年2002年にはこの事件を扱ったマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」が公開されています。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)

 

ジョン

Hey, what are you guys doing?(やあ、一体何をするんだい?)

 

アレックス

Get the fuck out and don't come back.

Some heavy shit's going down.

(外にいろ。中には戻るな。地獄になるぞ。)

 

 

 

(シーン②)宿敵ジョックとクイーンビーを見つけたアレックス

 

Eeny, meeny, miny, moe, Catch a tiger by the toe.

If he hollers, let him go, Eeny, meeny, miny, moe.

 

どちらにしようかな神様の言う通り

 

何かを選択したり、鬼ごっこなどの遊びで鬼を選んだりするときに使われる言葉遊び。

上記がスタンダードな形で、いろんなバージョンがあるみたいです。