1944年、大戦末期のドイツ。

ヒトラーを打倒し、政権を奪い、戦争の早期終結を目指すドイツ軍将校達がいた！！

祖国を想い、命懸けのミッションに挑む男たちを描いた硬派な戦争ドラマ作。

 

ヒトラー暗殺未遂およびク―デター未遂事件（7月20日事件）を描いた作品。

 

「ヒトラー暗殺」という言葉の響きは派手で目を引きますが、暗殺ミッション作品ではなく、クーデター劇を描いたドラマ作品。

 

イーサン･ハント的な超絶スタントのチーム･ミッションはなく、トム・クルーズ主演作の中ではかなり硬派な作品。

 

（ドイツ＝ナチじゃない！）

第二次世界大戦中のドイツと言えば、ヒトラー率いるナチス･ドイツのホロコーストなど超マイナスイメージが先行するのは当然だと思いますが、独軍の中にも、ナチスの蛮行に反発する良識ある人たちが当然いたというお話。

まともな教養ある軍人ならそりゃおかしいと思うだろうさねー。

 

ファシズムや全体主義が支配するあの時代のドイツでも、こんな人たちや動きがあった事は知っていた方がいいと思う。

 

ウクライナに侵略戦争を仕掛けるロシアの中でも、同じように考える軍人は必ずいると思う････

 

(実話ベース）

登場人物もみな実在した人。当然みなドイツ人。

ドイツ人俳優も出演してますが、メインキャストはイギリス人が多いです。

序盤にトム･クルーズがほんの少しだけ独語でしゃべるシーンがあるものの全編英語の作品。

ガチガチのアメリカ人のトムやイギリス人俳優たちが英語でドイツの実話を演じることに、疑問を覚えたドイツ人も多かったようです。

（日本の戦国時代の大河ドラマで家康や信長を外国人が英語で演じてたらやっぱり変ですもんねー。）

 

（ワルキューレ作戦）

タイトルにもなっているワルキューレ作戦ですが、主人公たちが仕掛けたクーデター作戦の事ではありません。

 

ドイツ国内の本国部隊「国内予備軍」の動員に関する作戦になります。

「予備軍」の主な目的は前線に送るための新兵や指揮官の訓練ですが、外敵がドイツ国内へ侵入しようとした際に、その防衛に当たらせるため動員させる作戦がワルキューレ作戦。

 

シュタウフェンベルク大佐らは、外敵ではなく国内で内乱が起きた際にもこの作戦を適用できるように修正を加え、クーデターに利用しようとしました。

 

（見どころ＆好きなところ）

●それぞれのクーデター

信念を貫く者、保身に揺れるもの、勝馬に乗ろうとする日和見主義者、暗殺を恐れる者。

誰もが選択を誤れば命を失う緊張感がいい。

 

●悲劇

途中までは上手くいくかに思えたクーデター。

しかしヒトラー生存の報が流れると事態は一変。

希望は一気に絶望へ。

ほんのひとつの行動や言動で大きく流れが変わってしまう事のある政治的なドラマの敗者たちに滲む無念さが胸を打ちます。

 

(クーデターは何故失敗したのか）

ヒトラー暗殺成功が大前提の計画だったので、その失敗が痛すぎます。

●２つの爆弾

着替えをした部屋で爆弾に信管をセットし準備している最中に、人が入ってきたため、２つのうち1つは起爆できないまま副官ヘフテン中尉のカバンにしまわれしまい使われませんでした。

シュタウフェンベルク大佐のカバンに入っていたら、1つが爆発することで誘爆を起こして殺せていた可能性がかなり高いと言われています。

 

●カバンの置き位置

シュタウフェンベルク大佐は爆風がヒトラーに向くように机の支柱に立てかけて置いたそうですが、それを邪魔に思った人が支柱の奥の方へずらしてしまったそう。