未来を花束にして C

(SUFFRAGETTE)2015

監督 サラ・ガヴロン  
キャスト キャリー・マリガン モード・ワッツ
  ヘレナ・ボナム・カーター イーディス・エリン(薬局の女性)
  アンヌ・マリー・ダフ

バイオレット・ミラー(古参の活動家)

  ブレンダン・グリーソン スティード警部
  ベン・ウィショー

サニー・ワッツ(モードの夫)

  メリル・ストリープ

エメリン・パンクハースト

  ナタリー・プレス

エミリー(馬に飛び込む)

  ジェフ・ベル

テイラー(洗濯工場オーナー)

  フィンバー・リンチ

ヒュー(イーディスの夫)

  ロモーラ・ガライ ホートン夫人(支持者)
  サミュエル・ウェスト ホートン議員
  エイドリアン・シラー ロイド・ジョージ蔵相
  アダム・マイケル・ドッド ジョージ(モードの息子)
投票権を訴える女性
投票権を訴える女性

20世紀初頭のイギリス。

洗濯工場で働くモード・ワッツ(キャリー・マリガン)は親の代から洗濯工場で働く女性労働者。

過酷な労働環境の中、日々の生活だけで精一杯のモードが、参政権(投票権)を訴える女性活動家たちの存在を知り、次第にその活動に希望を見出して自身も活動に身を投じてく姿を描いた作品。

過酷な労働環境で酷使される労働者。なかでも種々の暴力にも晒されていた女性労働者が投票権を、そして希望ある未来を勝ち取るという強い信念のもと闘う様子を描いてます。

 

イギリス映画なのでキャストもイギリスやアイルランド出身者ばかりですが、パンクハースト夫人を演じたメリル・ストリープはアメリカ人です。

 

エメリン・パンクハースト
エメリン・パンクハースト

原題タイトルの suffragette(サフラジェット)は19世紀末から20世紀初頭にイギリスで婦人参政権を求めた活動家達の事です。

その代表的な人物で指導的な立場にいたのがエメリン・パンクハースト。

1903年にWSPU(婦人社会政治連合Women's Social and Political Union)を組織。平和的な手段で活動する団体とは決別し、過激な活動で注目を浴びるようになります。作中でも登場してましたが、1913年競馬場で英王ジョージ5世の馬の前に飛び出して死亡した「殉教者」メアリー・デイヴィソンなど何度も逮捕されるような過激なメンバーが多数いました。

殉教者  メアリー・デイヴィソン
殉教者 メアリー・デイヴィソン

途中までは、不遇な彼女たちに同情し、立ち上がろうとする姿を応援したい気持ちになりましたが、平和的活動に限界を感じ、爆弾テロなど過激な暴力に訴えるようになり、一気に反感を覚えました。

郵便ポストや電話線を爆破。

果ては大臣の別荘を爆破。

自分達の意見が通らないからって他人の迷惑を省みず、暴力に訴える姿はテロリスト以外の何物でもない。

やってはいけない行為だと思います。

 

1918年財産に関する条件付きで30歳以上の女性に、1928年には21歳以上の全ての女性に投票権が認められました。

この成果にサフラジェットの暴力がどれだけ寄与したのかは甚だ疑問。

 

(見どころ)

●主演キャリー・マリガン

疲れきった労働者から、活動に希望を見出し信念を持って戦う女性に変っていく様子を好演してます。

メリル・ストリープとキャリー・マリガンは、私が最も演技が上手だと思っているベテラン&若手女優さんなので、その共演は楽しみでしたが、メリルの出演時間は短く、2人の絡みも一瞬でしたので、そこは残念でした。

 

●参政権や自由を求めた闘いの歴史

何度も逮捕されたサフラジェット達は獄中ではハンガーストライキで対抗。

死なれて活動の殉教者扱いされても困るので、政府は強制摂食で対抗。

作中でもモードが鼻チューブで無理矢理栄養分を流し込まれるシーンがありました。

暴力に訴えるのはいただけませんが、そういった激しい闘いの歴史があった事は知っておいてもいいと思います。

 

ちなみに日本で女性参政権が認められたのは1945年。

 

★★★PICK UP LINES★★★

オープニング 100年前の英国紳士のお声

 

Women do not have the calmness of temperament or the balance of mind to exercise judgement in political affairs. 

 

If we allow women to vote, it will mean the loss of social structure. Women are well represented by their fathers, brothers, husbands.

 

Once the vote was given, it would be impossible to stop at this. Women would then demand the right to becoming MPs, Cabinet Ministers, Judges.

 

気分屋で心の平静を欠く女性には政治判断は向かない。

 

女性投票権を認めたら社会構造の崩壊だ。

父、兄弟や夫が女性を代弁している。

 

一度認めれば歯止めがきかなくなり、やれ議員だ、大臣だ、裁判官だとエスカレートする。

 

 

※MPs は Member of Parliament の略(の複数形)です。

 国会議員の事ですが、イギリスではもっぱら下院議員を指します。

 上院議員は Senator です。