プロミシング・ヤング・ウーマン A

(PROMISING YOUNG WOMAN)2020

監督&脚本&製作  
エメラルド・フェネル  
キャスト  
キャリー・マリガン キャシー(カサンドラ)
ボー・バーナム ライアン(小児科医)
クランシー・ブラウン スタンリー(キャシーの父)
ジェニファー・クーリッジ スーザン(キャシーの母)
ラバーン・コイル ゲイル(キャシー友人、カフェ店主)
アリソン・ブリー マディソン(Ⅰ 医大同級生)
コニー・ブリットン ウォーカー(Ⅱ 医大の偉い人)
アリ・ハート ウォーカーの娘
アルフレッド・モリーナ グリーン(Ⅲ 弁護士)
クリス・ローウェル アル・モンロー(ⅡⅡ 本丸)
マックス・グリーンフィールド ジョー(アルの親友)
モリー・シャノン キャシー友人(被害者の一人のよう)
アダム・ブロディ ジェリー(最初にお持ち帰りした男)
クリストファー・ミンツ・プラッセ ニール(次にお持ち帰りした男)

泥酔したふりをして、自分をお持ちかえりした男に制裁を加える女キャシー

過去に親友が性的暴行を受けたことがきっかけで、女を性欲のはけ口としか見ない男たちに、激しい嫌悪を抱き、その復讐に生きるキャシーの行きつく先は・・・

 

 

(女のリベンジ)

性的暴行を受けた女性が男たちに復讐するリベンジ・スリラー作品はいろいろあり、最近ではバイオレンスな仕返しをするグロ推しの作品が散見されますが、本作はそれらとは一線を画し、問題の深刻さや根の深さをえぐりだす切れ味鋭いドラマに仕上がってます。

 

加害者である男が最低クズヤローである事は言うまでもありません。

でもキャシーの復讐の相手は直接の加害者である男だけじゃない。

事件を事件として取り合おうとしない者。

事件を見て見ないふりをする傍観者。

それを見過ごす社会の空気や風潮。

そのすべてがキャシーの憎むべき対象。

 

完全に善玉だったライアンを終盤で一気に悪玉へと転落させたあの怖さは、男性観客に「決して他人事だと思うなよ」と言われているようでした。

 

(男性こそ是非観よう)

監督&脚本&製作のエメラルド・フェネルは元は女優さん。

本作が長編監督デビュー作となります。

製作にはマーゴット・ロビーも参加。

主演のキャリー・マリガンも製作総指揮に名を連ねてます。

 

作り手も主人公も女性。

女性にも見てもらいけど、やっぱり世の男たちに是非見てもらいたい作品。

性暴力が被害者にどれほどのダメージを与え続けるのか、よくわかる。

 

「『イエス』という積極的な同意のない性行為は犯罪」とする法改正をしている国もあり、非常にタイムリーな社会問題を復讐ドラマという形で知らしめてくれる作品。

 

(ポップでブラックジョーク的な雰囲気も)

扱う内容がシリアスなだけに重苦しくなりすぎないよう、監督いわく「50%くらいコメディ要素」にしてあるそう。

個人的にはコメディ要素2~3割かなという感じ。

やけに派手でポップなキャシーの服装とかね。

 

ビックリだったのは、キャシーが復讐相手からの返り討ちで死んでしまったこと。ライアンが助けに来るのかなとか、甘いこと考えてましたが・・・

彼女にも問題はあれど、なにも死ぬことはないかなと・・・

 

キャシーの死、そしてその後のフィナーレに向けての展開は急激にポップなコメディ的要素が増し増しになり、それまでのドラマの雰囲気が壊れてしまった気がしました。最後だけは残念。

 

(見どころ)

主演キャリー・マリガン

私が最も演技が巧いと思う女優さんの一人です。

 

(好きなところ)

●自責の念で苦しむ悪徳弁護士を許すキャシー

●復讐に一旦のくぎりつをつけたキャシーを理解し「おかえり」と言ってくれたお父さんの愛。

 

こういうジ~ンときたドラマ・シーンの余韻が、ポップなラストのせいで冷めてしまった。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)PROMISING YOUNG MAN

 

ウォーカー

Ruin a young man's life every time we get an accusation like this?

(告発の度に、前途ある青年の人生を破滅させろというの?)

 

2015年スタンフォード大学で起きた性的暴行事件とその後の裁判が本作の題材となってます。

裁判では、白人でエリート水泳選手の加害者が「将来有望な若者」である事が考慮されて軽い量刑となり、全米でも注目を集めた事件。

本作のタイトルはこの事を皮肉ったものになります。

 

 

(シーン②)関せずは罪

 

ライアン

I didn't even do anything.(僕はなにもしていない!)

 

キャシー

Okay.  Poor Ryan, just an innocent bystander.

(あらそうなのライアン、罪なき傍観者ってわけね。)