ブレードランナー 2049 A

(BLADE RUNNER 2049)2017

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ  
キャスト ライアン・ゴズリング K(KD6-3.7)  / ジョー
  ハリソン・フォード デッカード
  アナ・デ・アルマス ジョイ(超カワイ子ちゃんAI)
  シルヴィア・フークス ラヴ(ウォレスの腹心レプリカント)
  ジャレット・レト ウォレス(ウォレス社代表)
  ロビン・ライト ジョシ警部補(マダム)
  マッケンジー・デイヴィス 娼婦
  カーラ・ジュリ アナ・ステリン(記憶創造者)
  デイヴ・バウティスタ サッパー・モートン(ネクサス8型 / ファーマー)
  デヴィッド・ダストマルチャン ココ(警察の検死官)
  トーマス・レマルキス ウォレス社記録係
  レニー・ジェームズ 子供を働かす廃棄物処理屋
  ヒアム・アッバス フレイザ(ネクサス8残党のリーダー)
  バーカッド・アブディ Dr.バッジャー(木馬を調べる)
  エドワード・ジェームズ・オルモス 折り紙老人ガフ
  ローレン・ペタ レイチェル模倣レプリ
  ショーン・ヤング レイチェル(写真、模倣レプリの顔)

新型レプリカント:ネクサス9型のKD6-3.7(通称:K)の仕事は旧型レプリカントを解任(抹殺)するブレードランナー

ある任務の中で白骨化した女性の遺体を発見。

検死の結果、出産の際に死亡したこと、さらにレプリカントである事が判明する。

レプリカントの妊娠

奇跡かバグか。世界の根幹を揺るがすようなこの事実を葬るため、その証拠となる「生まれた子供」を見つけ出し始末するよう命じられるK。

一方、ネクサス9型を開発した科学者ウォレスも「レプリカントの繁殖」に興味を持ち、「生まれた子供」を見つけ出そうと動き出す。

 

人とレプリカントの境を巡るSFドラマの続編です。

 

前作から35年ぶりの続編。

物語上では、前作の2019年から30年後の2049年の設定です。

前作監督のリドリー・スコットは製作総指揮として参加してます。

 

非常にクオリティが高く批評家の評価も高い作品ですが、前作同様に明るいSFではなく、暗く、陰湿で生々しい雰囲気が漂う作品。

故に大衆受けはせず、興業的にはパッとしませんでした。

すごいハイクオリティのSFなんだけどなー。

 

(前作から30年後の世界観)

前作のサイバーパンク的な雰囲気やアナログ感は随所に残ししつつも、30年という時間経過を考慮して、技術的な進歩も見られる新たな近未来都市を描いてます。

前作同様、無国籍感溢れる街頭には日本語の標記がたくさんありましたが、他にハングルやロシア語も多いよう。

 

(人とレプリカントとの境)

前作ヒロインでレプリカントのレイチェルが出産したという子供を巡るミステリアスでサスペンスフルなドラマ。

 

生殖機能を抜きにしても、レプリカントはもはやほぼ人間。

悩んだり、愛したり、泣いたり、怒ったり。

身体能力は人間以上ですが、歳もとるようだし、銃で撃たれれば死ぬし、さほど超人的な能力を持っているわけでもなく。

 

特に前作を鑑賞している人は、その影響もあり、新しい登場人物が出てくる度に「こいつは人間?レプリ?どっち?」という視点でキャラクターを見るようになります。

しかし、もはや人間とレプリに差はなく、限りなく曖昧な境目を見い出そうとする中で、作品のテーマに自然と向き合わされる事になります。

続編であることが上手く効いているレトリック。

 

(「デッカードはレプリカント?」論争に終止符は?

 結論から言えば打たれませんでした。 あやふやでした。

デッカードとレイチェルの子は、レプリカント同士の子なのか?ハーフなのか?とにかくあやふや。

そこはそれでいんだと思います。そうしとくしかないですよね。

 

(見どころ)

映像という点では、完璧と言ってもいいほどの出来栄え。

あらゆるショットがアーティスティックで美しい。

ここまで美しく詩的な画を終始観せてくれる作品(しかもSFで)はそうそうない。

美しさの中に、不気味さも同居するような背景、ショットの数々。

調和が取れているようでありながら、刺激的にも感じる。

素晴らしいです。

この辺りは撮影監督のロジャー・ディーキンスの影響も大きいと思います。

 

ストーリーも悪くはありませんが、ラストが静かすぎるかなー。

もう少しドランチックな盛り上がりがあってもいいかなー。

 

(好きなところ)

●AIホログラムのジョイちゃん(演:アナ・デ・アルマス)

超カワイイ! ほしい!!

いろんな衣装、髪型を披露してくれますが、全てカワイイ!!!

 

彼女もまた人ならざる者。レプリと違い、生の体すら持っていませんが、実に人間らしさを感じるキャラでした。

 

娼婦と重なってKを誘うシーンは、美しさと不気味さが重なり印象的。

 

●ウォレス(演:ジャレット・レト)

登場時間は短いですが、怖すぎ。圧倒的なヤバイ奴感を放ってます。 

盲目の科学者で人間です。が、一番人間(浮世)離れしてます。

 

●ウォレスの腹心レプリ(天使)、ラブ(演:シルヴィア・フークス)

創造主であるウォレスへの畏怖や忠誠心に揺れ動く不完全な感じがまた人間らしい。

 

●記憶の創造者アナ・ステリン(演:カーラ・ジュリ)

ほんわ~かした感じがかわいい。

 

★★★PICK UP LINES★★★

狂気をはらんだ科学者

 

ウォレス

Every leap of civilization was built off the back of a disposable workforce. We lost our stomach for slaves unless engineered.

But I can only make so many.

(全て文明の飛躍の裏には使い捨ての労働力があった。その奴隷は今や人間ではなく作られたものでなければならない。だが生産には限りがある)

 

That barren pasture・・・ empty and salted・・・ right here.

The dead space between the stars.

And this, the seat that we must change for heaven.

I cannot breed them.  So help me, I have tried.

We need more Replicants that can ever be assembled.

Millions, so we can be trillions more.

We could storm Eden and retake her.

(不毛なる地、塩をまかれたような空っぽの。ここだ。星々の間で何もない死の空間。ここを天国へと変えるのだ。繁殖を試みたが出来なかった。

今以上により多くのレプリカントが必要だ。何百万、何兆も。

エデンの園を再び奪い取るのだよ。)

 

Tyrell's final trick.  Procreation.  Perfected, then lost.

But there is a child.  Bring it to me.

(タイレルの最後の企み。生殖。完成したが、失われた。

だが子供がいる。私の元へ連れてこい。)