フィールド・オブ・ドリームス S
(FIELD OF DERAMS)1989
監督&脚色 | |
フィル・アンデル・ロビンソン | |
キャスト | |
ケビン・コスナー | レイ・キンセラ |
エイミー・マディガン | アニー(妻) |
ギャビー・ホフマン | カリン(娘) |
レイ・リオッタ | ジョー・ジャクソン(シューレス・ジョー) |
ジェームズ・アール・ジョーンズ | テレンス・マン |
バート・ランカスター | Dr.アーチボルト・グラハム(ムーンライト・グラハム) |
フランク・ホエーリー | 在りし日のアーチー・グラハム |
ティモシー・バスフィールド | マーク(アニーの兄) |
スティーヴ・イースティン | エディ・シーコット(ピッチャー) |
ドワイヤー・ブラウン | 在りし日のジョン(レイの父) |
If you build it, he will come.
それを作れば彼はやってくる。
トウモロコシ畑で突然聞こえてきた謎の声。
その意味も分からないままに、野球への思い入れ強き農場主のレイ(ケビン・コスナー)は畑を潰して、野球場に変えてしまう。
そして、やって来たのは・・・
ウィリアム・パトリック・キンセラの小説「シューレス・ジョー」を原作として人の夢やベースボール、60年代のアメリカに思いを馳せたファンタジー・ドラマ作。
(人の夢 と 古き良き時代への郷愁)
誰にでも、心残りや、叶わなかった夢があり、戻りたいと願う過去があるのかもしれませんが、人は皆死に、時が戻ることもありません。それが現実。
でも、もしも、もしも、再び夢を果たせるチャンスが与えられるのなら、あの時に戻れるのなら。
そんな人の心をくすぐり揺さぶるドラマをファンタジーを用いて描いてます
ストーリーの本筋はアメリカの家族のドラマ。
その中に、もっと自由でもっと希望や夢があり情熱的だった古き良き時代60年代への郷愁や、アメリカでずっと愛され続けているベースボールへの愛をうまい具合に織り込んでます。
ファンタジーと郷愁。
不思議な雰囲気を醸しながらも、どこか懐かしく、温かみのある、やさしくてステキな映画。
「野球映画」ではありませんが、野球愛に溢れているので、野球が好きな方にはもちろんおススメの作品です。
今から見れば、本作が製作された80年代も古き良き時代。
結論、いつの時代から見ても(どの世代にとっても)、20~30年前ってのは常に古き良き時代。
(好きなところ)
●明るく仲良し、キンセラ一家
おとーちゃんが血迷ったことを始めても、妻も娘も、それを罵るでも諫めるでもなく、応援して進んでいく家族を観ているのは楽しい。
●コーン畑より出でしものたちとのフランクな関係
シューレス・ジョーはかなり不思議な雰囲気を醸していますが、みんな気さくで愉快な奴ら。レイや家族も、引いたり、変に気遣ったりすることなく接している軽さがいいです。
(ブラックソックス事件)
1919年のワールド・シリーズ(シカゴ・ホワイトソックス VS シンシナティ・レッズ)において、ホワイトソックス側が賭博絡みで金を受け取りワザと負けたという八百長事件。
(ホワイトソックスのオーナーが超ドケチで、選手の賃金や待遇が全チームの中で最低だったという環境が八百長の土壌になったよう。)
国民的スポーツでの黒い疑惑は米国社会に大きな衝撃を与え、シューレス・ジョーはじめホワイトソックスの主力選手8人が球界から永久追放されていしまいます。(アンラッキー8)
各選手たちの八百長への関与の程度ははっきりしませんが、お金を渡されていたことは確かなようです。
シューレス・ジョーのワールド・シリーズの成績を見る限りでは八百長をしていた気配はありません。(高打率、エラーも無し)
ジョーは貧しい生まれで、子供の頃から工場で働き、学校にも行かず、文字も読めませんでした。田舎出身で無知な彼が、お金を渡されるだけ渡されて、利用されてしまったという側面が強いようです。
(ムーンライト・グラハム)
マイナーで3年プレー。メジャーでは1イニング守備に付いただけで、打席に立つことなく引退。その後は医師として地元に貢献。
シューレス・ジョーとは違いまたく無名の選手でしたが原作者のキンセラが小説に登場させ、映画化されたことで広く知られるようになった人。
(J・D・サリンジャー)
野球選手たちはみな実在の刃部ですが、厭世の元作家テレンス・マンは架空の人物です。そのモデルは「ライ麦畑でつかまえて」で知られるJ・D・サリンジャー。
原作小説ではサリンジャーの名前が使われていますが、映画化に際してサリンジャー自身が名前の使用を認めなかったため、役名が変わっています。
(これもアメリカ)
2021年8月12日、アイオア州のロケ地近くに新設された野球場でシカゴ・ホワイトソックス VS ニューヨーク・ヤンキースの試合が実現。
両陣選手がトウモロコシ畑の中から入場。
ケビン・コスナーも駆けつけ「ここは天国か?」とスピーチしたそう。
粋だね~。
(日本版ポスター)
本作は、野球が人気だった日本でもヒットして高い評価を得ました。
当時の日本のポスターに書かれていた文言。
「彼は21歳の父に逢った・・・」
「帰ってくる― 若き日の父に姿をかえて」
それを知ったロビンソン監督が「結末をバラすなんて!」と驚いたが「先祖崇拝を大切にする国に合わせたものです。」という説明を受けたというエピソードがDVDの特典映像にありました。
いや、あかんでしょ、絶対
★★★PICK UP LINES★★★
声①
If you build it, he will come.(それを作れば、彼はやってくる。)
声②
Ease his pain.(彼の苦痛を癒せ。)
声③
Go the distance.(やり遂げろ。)
※ go the distance は「やり遂げる」という意味ですが、野球用語として「完投する」という意味も持っています。
字幕表示は「やり遂げろ」でした。「完投」というもう一つの意味を知っているだけで、味わいが全然変わる。
ちなみに吹き替えでは「遠くても進むのだ」という見当違いの訳が当てられていました。