博士の異常な愛情

または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 

(DR. STRANGELOVE OR: HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB)1964

監督 スタンリー・キューブリック  
キャスト ピーター・セラーズ Dr.ストレンジラヴ
  ピーター・セラーズ マンドレイク大佐(英人将校) 
  ピーター・セラーズ 合衆国大統領
  スターリング・ヘイドン リッパー准将(基地司令官)
  ジョージ・C・スコット タージドソン将軍
  スリム・ピケンズ コング少佐(爆撃機 機長)
  ピーター・ブル ソ連の大使
  キーナン・ウィン グアノ大佐(基地を攻めた大佐)
  ポール・タマリン ゴールディ(爆撃機 通信係)
  ジェームズ・アール・ジョーンズ 爆撃機乗員(アフリカ系)
  トレイシー・リード

ミス・スコット(タージドソンの秘書)

巨匠キューブリック監督の代表作の一つ。モノクロ作です。

 

時は冷戦真っ只中。

核戦争そして世界滅亡の危機に瀕する中、米政府や軍を皮肉たっぷりに描いた風刺&ブラックコメディ映画。

 

映画が製作されたのは1963年。

その前年にはキューバ危機があり、ちょっとした行き違いから核戦争にまで発展してしまうかもしれないという危機感が広まった時代。

そしてそれが現実のものになってしまったらという筋立て。

 

タイムリーに作られた風刺映画で、公開当時は切れ味抜群だったでしょう。

それを今観る私達は、そんなおバカな時代もあったんだなー、と笑って観てやりたいものですが、ただ笑ってはいられないような気になるのは、当時も今も置かれている状況に大差がないからかな。

そう思うと進歩のなさにぞっとする。

 

冷戦なんていう、子供の意地の張り合いみたいな、そんな事で世界が滅んじゃうかもしれないなんて、ほんとバカみたいで、そんなのコメディでしょって思いたくはなります。

 

オープニングの手書き感のあるタイトルロール文字はポップでオシャレな感じがしました。

 

爆撃機のシーンで常に流れていたBGMは「ジョニーが凱旋するとき」(When Johnny Comes Marching Home)です。

結構いろんな映画で使われているアメリカの行進曲です。

 

正式タイトルはとても長いですが一般には「博士の異常な愛情」と呼ばれてます。「ストレンジラヴ博士」という人名を単語ごとに訳した邦題は、ファニーな感じがでてていいと思います。

 

(見どころ)

●おバカさんたち

ストレンジラヴ博士、タージドソン将軍、リッパー基地司令官、コング機長の4バカはしょーもない。

 

(ストレンジラヴ博士)

ドイツ人の狂人科学者。大統領を総統と言い間違えるなど場違い感MAX。

演じたピーター・セラーズはマンドレイク大佐、大統領も演じ、一人三役を楽しく演じてます。

 

(タージドンソン将軍)

とにかく先制攻撃しちまえばいいと思ってる国粋主義のタカ派のおバカ。

 

(リッパー基地司令官)

ソ連への爆撃命令を勝手に出した張本人。反共陰謀論者のおバカ。

 

(コング機長)

爆撃指令でハイになっちゃったおバカなカウボーイ。

投下される爆弾にまたがり、ヒーハーとロデオしながら逝く。

演じたスリム・ピケンズがロデオ・パフォーマーでもあったことも込みの演出

 

極端な描かれた方をされたキャラたちですが、現実味0%のキャラかと言われればそんなこともないので、やっぱり笑えるけど、笑えないような。

世界を滅ぼすのは天才でも強者でもなく、おバカさんですな。

 

★★★PICK UP LINES★★★

ソ連トップと電話する米大統領

 

Now then, Dmitri, you know how we've always talked about the possibility of something going wrong with the Bomb.

The Bomb, Dmitri. The hydrogen bomb!

Well now, what happened is... ahm... one of our base commanders, he had a sort of... well, he went a little funny in the head... you know... just a little... funny. And, ah... he went and did a silly thing... Well, I'll tell you what he did. He ordered his planes... to attack your country.

 

ディミトリ、いつも話し合ってだろ。

爆弾のことで、ひょっとしたら間違いが起こるかもしれないと 

爆弾だよ、ディミトリ。水爆だ! それが起きた。

うちの基地で司令官が、その、ちょっと、つまり頭がおかしくなった。

正気を失った。 そしてバカなことをしでかした。

彼は指揮下の爆撃機に、あなたの国を攻撃するよう命じた。