ノープ S
(NOPE)2022
監督&脚本&製作 | |
ジョーダン・ピール | |
キャスト | |
ダニエル・カルーヤ | ОJ |
キキ・パーマー | エム(エメラルド) |
ブランドン・ペレア | エンジェル(ショップの技術屋) |
マイケル・ウィンコット | ホルスト(監督) |
スティーヴン・ユアン | ジュープ(ウェスタン・テーマパークのオーナー) |
レン・シュミット | アンバー(ジュープの妻) |
キース・デヴィッド | オーティス・ヘウッド(ОJの父) |
空から降ってきたコインに打たれて父が亡くなり、牧場経営に行き詰った息子のОJ。
その頃、牧場の空に蠢く謎の影!?
宇宙船?エイリアン?
そいつの姿をカメラに収めようと危険な作戦に挑む兄妹たちの戦いの行方は!?
ホラー?SF?
恐怖あり、スリリングもたっぷり、ぶっ飛んだ滑稽さと不思議さに引き込まれていくジョーダン・ピール劇場。
(「見せ者」の見せ物)
オープニングから聖書の引用を持ってきて、すごく意味深。
この作品では「見せ物にされる者」がテーマになってます。
チンパンジーのゴーディ君や、謎の生物ジー・ジャンがそう。
「見せ者にされる者」は言い換えれば「搾取される者」。
見る側と対等ではない関係性。
それは黒人監督ジョーダン・ピール作品に根付く「人種差別」への憤りや批判の現れなんでしょう。
写真家エドワード・マイブリッジによる、映画の前身とも言える「動く馬」の動画(連続写真)(作中でエムが世界最初の映画と言っていた)の中の騎手が黒人で、彼の名はまったく知られていない事への言及(撮影者は名を残しているのに)など、黒人差別に対する批判姿勢はかなりハッキリしてます。
ゴーディやジー・ジャンは状況に対して強い行動に打って出るわけですが、両者とも最後は殺されてしまうところに悲しさを感じたり。
(アジア系牧場オーナーのジュープ)
本作のテーマの象徴的なキャラクター。
子供時代からショーの世界に生きてきたジュープ。
目の前でチンパンジーのゴーディが起こした事件が強烈なトラウマとなり、それを克服するためなのか、事件そのものを見せ物にしたり、さらにはより危険な生物を見せ者にしようとしたり。
ショーの世界に囚われている男。
作品の解釈やメッセージをあれこれ考えたり、監督の意図を読み解こうとするのも一つの楽しみ方ではあります。
でも、あれこれ考えながら見るのは疲れちゃう、それなら・・・
(怪獣映画!)
未知の生物の習性や弱点を探りながらやっつける!
これってまさに怪獣映画!
人間 対 怪獣ということで「ウルトラQ」を思い起こしたりしました。
ジー・ジャンの形態変化は、まんまエヴァの使徒!
監督もエヴァを参考にしたと言ってます。
差別という不条理を脚本の中に織り込んでいるので、王道SF作というわけではないですが、ざっくりした作戦で、後は勇気と根性で突っ込んいく感じに昭和の怪獣映画臭さを感じました。
(見どころ)
●ゴーディの乱!
かなり怖くて緊迫感のあるシーン。
実際に飼われていたチンパジーが突然人を襲う事件は起こってます。
●最後の決闘
ジー・ジャンがどんどん形を変えて巨大化していくシーンはワクワク&興奮必至!
●ラストシーン 馬に乗るОJがカッコイイ
黒人の騎手。妹は撮影にも成功。歴史に名を刻む勝利。
★★★PICK UP LINES★★★
対 動物
It's an animal.
You don't turn your back on a bear.
You don't wear red around a bull. It's like that.
You don't look at it unless you want its attention.
奴は動物だ。
熊に背を向けないし、牛の前で赤は着ない。
気を引きたくないなら、見ちゃだめだ。
※タイトルの nope は no の強調表現の俗語。
「ダメダメ!」みたいな感じ。
差別は「nope!」 てことだったのかな。