デューン  砂の惑星 

(DUNE)1984

監督 デヴィッド・リンチ  
キャスト カイル・マクラクラン ポール・アトレイデス(ムアディブ)
  フランチェスカ・アニス ジェシカ(ポールの母  道女)
  ユルゲン・プロポノフ レト・アトレイデス公爵(ポールの父)
  パトリック・スチュワート ガーニー(公爵家 武官)
  フレディ・ジョーンズ ハワト(公爵家メンタット(機械人間))
  ディーン・ストックウェル ユエ博士
  リチャード・ジョーダン ダンカン(公爵家 将校)
  ホセ・フェラー シャダム四世(皇帝)
  ヴァージニア・マドセン イルラン(皇帝の娘  語り手)
  シアン・フィリップス 教母ヘレン・モヒアム
  ケネス・マクミラン ハルコネン男爵
 

スティング

フェイド(ハルコネンの甥  細)
  ポール・L・スミス ラバン(ハルコネンの甥  太)
  ブラッド・ドゥーリフ パイター(男爵家メンタット(機械人間))
  マックス・フォン・シドー カインズ博士
  ショーン・ヤング チャニ(カインズの娘)
  リンダ・ハント シャダウト・メウプス(アラキスでの家政婦)
  エヴェレット・マッギル フレメンの長
  アリシア・ウィット アリア(ポールの妹)
印象に残ったキャラ
印象に残ったキャラ

長寿の秘薬、意識の拡大、様々な超常能力を与える物質メランジ、通称「スパイス」。

スパイスを巡る争いを描いた壮大なるスペース・オペラ!!

のはず・・・

 

(いわくつきの大作SF)

●原作

アメリカのSF作家フランク・ハーバートが1965年に発表した「Dune(デューン 砂の惑星)」が原作。

小説はシリーズ化され、全6作の壮大なSF大河小説となっています。

 

●映画化への道のり

1975年、フランスのアレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化に本格着手。

豪華キャストやスタッフを集めて制作を進めるものの、「上映時間10時間以上」というハチャメチャな構想や超巨額の制作費がたたり、絵コンテまで作成しながらも映画化は頓挫。しかしこの試みが、後のSF映画界に大きな影響を与えたと言われています。

2013年にはこの挫折譚を描いたドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」が公開されました。

これがかなり面白いらしいのでぜひ観てみたい。

 

●その後、映画プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスが映画化権を買い取り、デヴィッド・リンチ監督&脚本で映画化に漕ぎつけました。

しかし、公開された本作は批評家から酷評され、興業的にも失敗

リンチ監督にファイナル・カット権(最終編集の権利)がなく、スタジオ・サイド(配給会社)に大幅カットされ、精彩に欠けまくる出来上がりに。

 

前年1983年にスターウォーズのエピソードⅥ「ジェダイの帰還」が公開されスター・ウォーズ・シリーズが大成功を収めた事を考えると、本作の内容や映像は確かに酷い、拙い。

 

リンチ自身も気合を入れた本作で大コケして悔しい思いをし、それを教訓に次作1986年「ブルーブルベット」では予算大幅カットの代わりに最終編集権を得て、批評的にも興行的にも成功させてます。

 

●1994年には本作をTV用に再編集されたものが放送されました。

こちらは1時間くらい尺が伸びており、よりわかりやすくなっているのかも。

 

(独特な空気感・・・)

とにかく暗い・・・・

壮大な宇宙SFで、冒険譚でもあるんですが、とにかく暗い・・・

 

ひたすらモノローグ(心理描写(心の声))推し。

コメディでは実台詞とモノローグを併用した演出もありますが、通常はそのキャラの想いを直接心理描写してしまうのではなく、ストーリーや芝居の中で観客に伝えていくもの。

本作では状況説明の役割も持たせている感があり、いろいろ省エネ感出すぎてて、すごいシュール。

 

(でも、意外に王道だったり・・・)

ストーリーはいわゆる神話的な貴種流離譚。

(若い神や英雄が各地を巡り試練を超えて成長、大成する物語。)

SF的なアイデアや映像にも光る部分はいろいろあり、私的にはそれなりに楽しめた作品です。

 

ポール役のカイル・マクラクランは映画初主演。

以降もリンチ監督作に出たりしてます。

 

(好きなところ)

キモくて、グロテスクなキャラたち。

カルトの帝王とも呼ばれるリンチ監督らしい悪趣味なキャラたち。

特に「ミュータント化したギルドの航海士」「とにかくキモイ浮遊オヤジのハルコネン男爵」がいい。

ハルコネン家のシーンはキショ感、ヤバイ感が出てていいです。

 

(用語説明)

オリジナル用語が多く、作中ではあまり説明もされていないので。

 

●アラキス 

別名デューン。砂の惑星。スパイスが採れる。巨大ミミズ(砂虫)がいる。

 

●メランジ

スパイス。いろいろ便利な秘薬。

 

●フレメン

アラキスの岩場に住む原住民。目が青い。救世主の登場を待つ。

 

●クイザッツ・ハデラッハ

フレメンが待ち望む超人(救世主)。

超神水(命の水)を飲んで、スーパーサイヤ人に覚醒する的なヤーツ。

 

●ベネ・ゲセリット

修道会みたいな魔女集団。各勢力と婚姻関係などを結び繋がりを持つ。

 

●メンタット

人間コンピューター。剛まゆ毛と赤くただれた口元が特徴。

 

●ギルド

宇宙での移動、輸送などを請け負う輩。スパイスのやりすぎでミュータント化けした航海士が超常的能力で航行。事実上、皇帝をも上回る影響力を持った集団。

 

★★★PICK UP LINES★★★

オープニングの語り

 

イルラン

Oh, yes. I forgot to tell you.

The spice exists on only one planet in the entire universe.

A desolate, dry planet with vast deserts.

Hidden away within the rocks of these deserts are a people known as the Fremen, who have long held a prophecy that a man would come, a messiah, who would lead them to true freedom.

The planet is Arrakis, also known as Dune.

 

そう言えば、言い忘れていました。

スパイスがあるのは全宇宙でただ1カ所。

荒れ果てて乾いた砂漠の惑星。

その岩場にはフレメンという民が隠れ住み、彼らを真の自由へと導く救世主がやがて現れるという予言を信じているのです。

惑星の名はアラキス。またの名をデューン。

 

 

※タイトルの dune は「砂丘」という意味です。