チャイルド44 森に消えた子供たち C
(CHILD 44)2015
監督 | ダニエル・エスピノーサ | |
キャスト | トム・ハーディ | レオ・デミドフ |
ノオミ・ラパス | ライーサ(妻) | |
ジョエル・キナマン | ワシーリー(レオの部下) | |
ファレス・ファレス | アレクセイ(レオの部下、戦友) | |
ヴァンサン・カッセル | クズミン少佐(レオの上官) | |
ジェイソン・クラーク | ブロツキー(獣医、スパイ容疑者) | |
ゲイリー・オールドマン | ネステロフ将軍 | |
ニコライ・リー・カース | イワン(ライーサの同僚教師) | |
パディ・コンシダイン | ヴラド・マレヴィッチ | |
チャールズ・ダンス | クズミンの後任上官 |
MGB(ソ連国家保安省)のエリート捜査官レオ。強権的な捜査でスパイ容疑者を捕えてきたレオだが、妻のライーサにスパイ容疑がかけられた事で失脚し、妻と共に田舎町ヴォリスクへと左遷される。
ヴォレスクへ赴任後間もなく、子供の変死体が発見される。その遺体には虐待や外科的な切開の痕があり、その様はモスクワで鉄道死亡事故として処理された友人の子供と酷似するものだった。
独自に事件を調べる中で、鉄道沿線で同様の事件が多数起こっていた事が判明。その数44件。
スターリン指導下のソ連では「資本主義の病である」ところの連続殺人事件は存在しないものとされ、まともに調査すらされていなかった。
体制側からドロップアウトし、その価値観が揺らぐ中、被害の拡大を食い止めようと良心に従いレオとラリーサが、謎の犯人、そしてソ連という体制と対峙していく・・・
原作は英の小説家トム・ロブ・スミスの2008年のデビュー作「Child 44」。
作中の連続殺人犯は、ウクライナ出身で52人の女性、子供を殺害したとされる殺人鬼アンドレイ・チカチーロがモデルになってます。
作品は1950年代の設定ですが、チカチーロは1980年代に犯行を繰り返し、1994年に銃殺刑に処されています。
小説はシリーズ化され、続編「グラーグ57」「エージェント6」が書かれてます。
猟奇的な事件の犯人を追うスリラー・サスペンスですが、ソ連の抑圧的な支配体制の中でもがく夫婦のドラマや、歴史の闇や悲劇まで描いたり、とにかく欲張り盛り沢山過ぎて、何を描きたいのか焦点がはっきりしない作品に陥ってしまってます。残念。
原作小説の内容を網羅したかったのかもしれませんが、小説と映画の脚本は別物なので、映画ではしっかりとコンセプトを絞らないとダメ。
主人公が田舎に左遷されるまでの最初50分くらいまでは、何を描きたいのかさっぱりつかめず。こんなに掴みの悪い作品もあまりない。
もしサスペンスをメインにしたいなら、最初50分はバッサリ無しでもいいくらいです。
製作はリドリー・スコット。キャストも良いんですけどねー。
本作に限った事ではないですが、ロシアのお話を全編英語でやられるのは、やっぱ違和感がある。
※主人公レオが所属していたMGBはKGBの前身みたいな組織です。
(見どころ)
●終盤に、悲劇・闇の原点ホロドモールへと繋がる大きな流れ。
ソ連のエリート役人だったレオ。連続殺人犯。何の関係性もないかと思われた2人の根っこは実は同じ所にあったというオチ。
※ホロドモール大飢饉
1932~33年。ソ連による強制移住、農地・農作物の徴収により多くのウクライナ人が餓死に追い込まれた悲劇。犠牲者数には諸説あるが250万~1450万人とも。追い詰められた人たちの中には、死んだ馬や人間、さらには子供や赤ん坊まで食べる者も。20世紀最大の悲劇の一つと言われてます。
★★★PICK UP LINES★★★
ソ連
ライーサ
Leo, do you know what people get around here when they demand the truth? Do you? They get terror.
(レオ。この国で真実を求めたらどうなるかわかるでしょ。粛清される。)
レオ
Raisa, we are already dead. (ライーサ、俺たちはもう死んでるさ。)