チェイシング / 追跡 B

(TENDERNESS)2009

監督  
ジョン・ポルソン  
キャスト  
ソフィ・トラウブ ローリ
ジョン・フォスター エリック・コメンコ
ラッセル・クロウ 警部補 
ローラ・ダーン エリックの叔母
アレクシス・ジーナ マリア(エリックが少年院で出会った女) 
アリヤ・バレイキス ローリの母 
マイケル・ケリー ゲイリー(ローリの母の彼)
ターニャ・クラーク 警部補の妻

殺人衝動を抑えられないサイコパス青年エリック

 

彼の犯行現場を目撃しながらも、彼に惹かれていく闇深ガールのローリ

 

そんな2人のロードムービー

 

 

 

(重たい闇を抱える若者の青春ロードムービー)

母親の恋人から受けた性暴力のせいで、自己肯定感の低いローリちゃん。

他者の死に悦びを感じるサイコパス君に救いを見出して破滅へと進んで行く若い男女の旅を描いたドラマ作

 

設定は重たいけど、詩的でふわっとしたゆるやかさが漂う独特な雰囲気の作品。若者の脆さや危うさを感じさせる余韻は、悲しくも、心地悪くはなかったです。

 

(ミスリードが過ぎる邦題)

サスペンスでもクライム・アクションでもない!

 

一応、刑事を演じるラッセル・クロウを主演という事にしていますが、実質的な主人公はローリとエリックの2人。(特にローリちゃんかな。)

 

どう考えても大衆受けしない作品で、日本では劇場公開もされておらず、DVDリリースに際して、どうにか目を引こうとして付けられたのが「チェイシング/追跡」という邦題。

「メジャー俳優ラッセル・クロウ × クライム・サスペンス」という釣り文句に引っ掛って鑑賞した方がほとんどではないでしょうか。私を含め。

 

原題の tenderness は「優しさ」とか「親切心」とか「かよわさ」とかそんな意味です。

 

(原作)

米の小説家ロバート・コーミアの1998年発表「TENDERNESS(邦題:心やさしく)」が原作。

この作家の作品ではよく若者の虐待や暴力、精神疾患が描かれているそう。

 

(好きなところ)

ローリちゃん

心に深い闇を抱え込んでますが、外見上はかなりポップで軽い。

可愛らしいけど、痛々しい。

 

最後には、湖に身を投げて死を選択します。

悲しいけど、彼女にとってはそれが唯一の救いだったのかなー。

目の前でローリを失ったエリックは悲しみ慟哭します。

ローリの事も含め、殺人衝動以外にあまり関心が無いようなエリックに人間的な感情の波が押し寄せてきた感じでしょうか。

 

ラッセル・クロウ演じる刑事は、結構なクソヤロウでした。

 

★★★PICK UP LINES★★★

逃避行の行きついた先に・・・

(私の耳で聞きとった英語なので、間違ってる部分もある気がします)

 

ローリ

Am I prettier?(私の方がかわいいでしょ?)

 

エリック

You're pretty.(君はかわいいよ。)

 

ローリ

Now, I'm breathing.(でも、私は息をしてる。)

 

 

 

ローリの最初の台詞を字幕・吹き替えでは「かわいいと言って」と訳してました。

でもここでは比較級の prettier を使われていることろが大事。

「私の方がかわいいでしょ。」とまんま訳さないと。

比較対象は、かつてエリックが殺して愛でていた少女の遺体。

故に、ローリの「呼吸してる」につながるので。