フライト中に自国でクーデターが発生。

パスポートが無効となり到着したニューヨークのJFK空港から出られなくなってしまった男ビクター・ナボルスキー。

 

空港ロビー内で織り成す人間ドラマをコメディタッチで描いたドラマ作。

 

 

確かに空港や駅にいろんなドラマがあります。

それを文字通りに仕上げた映画。

 

パッケージ写真に涙ぐんだトム・ハンクスがドンッと写っているので、それなりにシリアスな感動巨編ドラマなのかと思ってましたが、結構無理のある設定が多く、かなりコメディ色強めの作品。

感動要素もあるので、笑いあり、涙ありの温かいドラマに仕上がってます。

 

国境警備局のディクソンが空港に居続ける主人公を見て「見張っている訳ではないんだから勝手に出ていけばいいのに。」的な事を言ってますが、パスポートを没収されて持っていない状況で勝手にどこかへ行こうとする方が無理がある。

 

（見どころ）

●空港での愉快な人間模様

いろんな人種の人たちと織り成す人間模様が愉快です。

主人公ビクターの母国クラコウジアは、東欧の架空の国。

話していた言葉もロシア語などをベースにしたトム・ハンクスの即興です。

 

（空港）

物語の舞台はニューヨークの玄関口、JFK国際空港。

アメリカを代表する国際空港の１つですが、保安上の理由からロケの許可が下りなかったため、5か月をかけて作った巨大なセットで撮影してます。

バーガーキングや吉野家など、出てきたお店は全て実在するお店。

 

（主人公のモデルとされる人物　マーハン・カミリ・ナセリさん）

イギリスへの留学経験を持つイラン人。

反体制運動に参加した事で、1975年にイランの秘密警察に捕まり拷問を受けて国外追放に。その後、難民認定を受けるも、身分証明書や難民認定書などを紛失し、イギリスやベルギーを行ったり来たりするも入国拒否され1988年(当時46歳)からフランスのシャルル･ド･ゴール空港に居つく事に。

以後、2007年にパリ郊外のホームレス支援施設に移送されるまで19年に渡り空港で暮らしていたそう。

フランスでは彼を描いた作品「パリ空港の人々」(1993年)が公開されています。

本作「ターミナル」は「空港から出られなくなった」という設定だけ拝借した感じです。