帰ってきたヒトラー A
(Er ist wieder da )2015
監督 |
デヴィッド・ヴェンド |
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キャスト | オリバー・マスッチ | アドルフ・ヒトラー |
ファビアン・ブッシュ | ファビアン・サヴァツキ | |
クリストフ・マリア・エルプスト | クリストフ・ゼンゼンブリンク副局長 | |
カッチャ・リーマン |
カッチャ・ベリーニ新局長 | |
フランツィスカ ・クレマイヤ | クレマイヤー (TV局女性社員) | |
ラース・ルドルフ | 売店主人 | |
ロマンナ・クンツェ・リヴノウ | サヴァツキの母 | |
トーマス・ティーメ | 前局長 | |
ステファン・グロスマン | 番組クラス・アルター司会者 | |
グドルーン・リッター | クレイマイヤーの祖母 |
1945年に死んだはずのヒトラーが、
2014年のドイツに突如タイムスリップしてやってきた!
モノマネ芸人に間違えられTV出演して人気者に!
現代で息巻くヒトラーの滑稽さを笑う国民達だが・・・
2012年のティムール・ヴェルメシュの同名小説が原作のドイツ映画。
何せ扱っているのがドイツのタブー、アドルフ・ヒトラー。
かなり切り込んだ試みもしている強烈なブラック・コメディ。
賛否の別れる問題作だと思います。
いろんな不満や問題を抱える現代の世界やドイツ国民や見て「今は好機」
「自分のいた時代と似てる」と見透かす総統閣下。
その不満に付け込み、不安を煽り「確かにそれはそうかも」と思わせ、大衆の心に響く演説がお上手。
ドイツや世界で極右勢力、排外主義が台頭していることに警鐘を鳴らして、強い事を声高に言う人には用心が必要だと訴えた切れ味のある社会派の作品に仕上がってます。
序盤は滑稽なヒトラーに笑えますが、街行くドイツ国民たちにアポなし突撃インタビューを敢行し始めたあたりからは、ちょっとやりすぎじゃないかと思うくらいの切り込み具合にハラハラ。
(実際に街中でインタビュー形式のアドリブで撮影してます。アドリブっぽく撮った創作も混じっているよう。何かの撮影だってことがわかっていても、ドイツでヒトラーの格好して街を闊歩するっていうのは日本人が思うよりも相当に不謹慎な事なんだと思います。)
ヒトラー役のオリバー・マスッチは主に舞台で活躍している役者さんで、
実際にはヒトラーに似てないそうですが、付け鼻等の特殊メイクで似せてます。ヒトラーの格好して街中を歩く事でマスッチが襲われる可能性も考慮して撮影にはボディ・ガードも同行したそうですが、実際には嫌悪されるようなことはあまりなく、スマホの自撮りを求められることが多かったそう。
ただドイツ国家民主党(ネオナチ的団体)の集会に突撃した際は流石に揉めたそう。(最終的には打ち解けたそうですが。)
ちなみにドイツ国家民主党の本部に突撃するシーンは創作とのこと。
終始、画面が非常に明るくクリアなのが印象的でした。
(見どころ)
●マスッチ演じるヒトラー。 滑稽かつ不敵。存在感がある。
街頭アドリブインタビューを、ヒトラーになりきって返答してるので、面白いんですが、見ててハラハラする。
★★★PICK UP LINES★★★
ヒトラーを見た老婦人
クレイマイヤーの祖母
「こいつはヒトラーだ。追い出して。」
サヴァツキ
「物まねですよ。勘違です。」
クレマイヤーの祖母
「家族を思い出す。大勢いたけど皆殺しだったのよ。何とかして。」
ヒトラー
「当時を思うと怒りがこみ上げるよ。
イギリスの爆撃機など二度と来させはしない。」
クレイマイヤーの祖母
「爆撃機じゃない!あんたがガス室で殺したんだ!」
クレイマイヤー
「これは風刺なのよ。」
クレイマイヤーの祖母
「昔と同じだね。同じことを言ってる。
みんな最初は笑ってた。騙されないよ。忘れてない。
出ていけ! この極悪人め!」