Girl  ガール 

(Girl)2018

監督 ルーカス・ドン  
キャスト ヴィクトール・ポルスター ララ
  アリエ・ワルトアルテ  マティラス(ララの父) 
  オリヴィエ・ボダール  ミロ(ララの弟)
  テイメン・ホファールツ ルイス(ララの隣人男性)
  ファレンタイン・ダーネンス カウンセリング医師 

体は男、でも性自認は女。

トランス少女のララ16歳。

バレリーナを目指して過酷な練習に励む日々。

自分の男としての体に違和感や苛立ちを覚える少女の物語。

 

トランスジェンダーを題材にしたベルギー映画。

 

(トランス女性の苦悩、葛藤のドラマ)

セクシャル・マイノリティーを題材にした映画と言えば、少し前までは「激しい偏見や差別と闘い、自分の生きる道を切り開いていく」パターンが多かったですが、時代も変わり、内容も変わってきました。

本作は「マイノリティと差別者との闘い」の話ではなく、主人公ララ一点に焦点を当てた「マイノリティ個人の内面」の話。

 

本作ではララの父親も親族もバレエ学校も、ララの性自認を認めて受け入れているので、自らの存在を認めさせるための闘いをする必要はありません。

あからさまな激しい差別や偏見は見られません。

(バレエ学校の生徒たちから好奇という差別を受けますが。)

それでも、それでも、シスジェンダーにはない大きな葛藤、孤独、生きづらさを抱えるトランス少女の青春を描いたドラマ。

 

観客はララの父親と同じ目線で見る感覚になる方が多いかなと思います。

とにかく応援したい。でも心配。

「何かあったら何でも言って、相談して」と父親は言うのですが、そこは娘と父。体のデリケートな事ともなれば、かえって父(家族)だからこそ言いにくい事だってあるのも分かるし。いろいろもどかしい。

 

「思春期の少年」の恋や葛藤を描いた話はあります。

「思春期の少女」の恋や葛藤を描いた話もあります。

ならば「思春期のトランスジェンダー少年、少女」の恋や葛藤の話だってあるはず。

本作のような映画が「セクシャル・マイノリティーの作品」ではなく「青春映画の一つ」として世の中から認識されるようになっていったらいいのかなあ。

 

●監督&脚本 ルーカス・ドン

公開当時27歳のベルギーの若き監督。本作は初長編作。

 

●ララ役 ヴィクトール・ポルスター

映画初主演。

ララ役の選考はかなり難航したらしく、バレエ学校の生徒役のグループオーディションで目に留まり、主役に抜擢されたそうです。

バレエ経験者ですが、彼は自身はシスジェンダーです。

 

ララにはモデルがいます。

ノラ・モンスクールというベルギーのダンサーです。

トランスジェンダーの彼女がバレリーナを目指すという新聞記事を読んだルルーカス監督が着想を得て本作が書かれました。

ノラさん自身も脚本に関わり、撮影現場にも来て協力していたそうです。

 

(やや過激な描写)

他人にはわからないララの深い苦悩を伝えるための、映画(物語)故の極端な表現だったのかもしれませんが、フェラやチョッキンのシーンは個人的にな無くても良かったと思います。

 

トランスジェンダーの方から「身体的特徴にフォーカスしすぎだ」という批判があったそう。またトランスジェンダーをシスジェンダーの俳優が演じた事にも批判があったそうです。

後者については、俳優の存在意義が問われるような問題。

私的には、自分でないものを演じるのが俳優の仕事、魅力、見せ所だと思うので何ら批判されるものではないと思ってます。

  

(見どころ)

●ララの葛藤、苦悩

●ララのヴィジュアル

彼女のアップが非常に多い。

かわいい!綺麗!バレエで締まった体も美しい。

ジュリエット・ルイスに似てる。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)手術説明 言葉だけ聞いていると怖い・・・

 

医者

まずペニスから海綿体を取り除きます。

そして残った皮膚を利用して新たに膣をつくるんです。

亀頭の一部を使ってクリトリスもつくります。

ララは二次性徴を抑えているのでペニスが発達していない可能性がある。

その場合はS字結腸の一部を使って膣の長さを確保することになります。

 

 

(シーン②)娘と父

お前はとても勇気のある子だ。みんなの模範になれる。

 

ララ

模範にはなりたくない。女の子になりたいだけ。

 

お前は女の子だよ。女の子さ。

女性になることを急ぐ必要はないからな。

パパだって時間をかけて男になった。焦っちゃダメだ。