大いなる陰謀

(LIONS FOR LAMBS)2007

監督

ロバート・レッドフォード

 
キャスト メリル・ストリープ ジャニーン(記者)
  トム・クルーズ アーヴィング議員
  アンドリュー・ガーフィールド トッド(大学生)
  ロバート・レッドフォード マレー教授
  マイケル・ペーニャ

アーネスト・ロドリゲス

  デレク・ルーク アーリアン・フィンチ
  ピーター・バーグ 軍事作戦指揮官
  ケヴィン・ダン ハワード(ジャニーンの上司)

対テロ戦争の新しい作戦の情報をリークし名を売ろうとする野心家の共和党若手議員と、彼と向き合う ベテランジャーナリスト。

 

勉学に励む2人の苦学生。志願兵となり従軍する彼らが、その作戦のため アフガンの雪山へと向かう。

 

見込みはあるが学業を疎かにして、漫然とした学生生活を送る大学生と、それを諭す教授。

 

3つのストーリーがアメリカの抱える問題を描き出す社会派ドラマ。

 

利己的で劣化が進む政治やマスメディア。貧困や格差。無関心。アメリカだけでなく、現在の世界を覆う諸問題を巧いことまとめてみせたストーリー。

 

戦場シーンも多少あるものの、政治に関する議論が主体の会話劇。

娯楽映画ではないです。

 

ロバート・レッドフォードが製作&監督&出演。彼のリベラルな考えた方も大いに反映されているんだと思います。

 

陰謀絡みのサスペンス映画ではまったくないので、邦題は的外れもいいとこ。

 

(見どころ)

●キャストのみなさんが素晴らしい。

 ベテランのロバート・レッドフォード、メリル・ストリープは言わずもがな、自信家議員を演じたトム・クルーズ、悩める大学生を演じたアンドリュー・ガーフィールドも良かった。

 

●端的で切れ味のある台詞。

 会話主体で動きの少ない作品ですが、味のある演技や巧い台詞のおかげで、最後まで楽しめました。約90分という尺も丁度いい。

 

★★★PICK UP LINES★★★

(シーン①)

アーヴィング議員(政治)からジャニーン(マスコミ)への

手痛いカウンター

 

アーヴィング議員

When did you all become a windsock?

(君らはいつから風見鶏になった?)

 

ジャニーン

A what?(何て?)

 

アーヴィング議員

Windsock.  Blows with the prevailing breeze.

When did you start confusing majority opinion with the right one?

(風見鶏。風の吹く方へ流される。いつから多数派の意見が正しい意見に?)

 

ジャニーン

Sort of like when we supported going into Iraq?

(メディアがイラク派兵を支持したこと?)

 

アーヴィング議員

Supported?  No, no, no, no, no.  You guys sold it.

Your network led every report about the invasion of Iraq with the screen-size flag, the square-jawed saluting marine and the bald eagle soaring to Aaron Copland.

(支持?違うね。君らは儲けたのさ。メディアはイラク侵攻を逐一リポート、画面いっぱいの星条旗に敬礼する海兵隊員。空を舞う鷲、アーロン・コープランド(の国家礼賛)の曲。)

 

ジャニーン

That's because we believed and you believed that Iraq was a legitimate enemy.

You asked us for the benefit of the doubt because we have troops in harm's way...

(それは我々もあなた達も、イラクは間違いなく敵であると信じていたから。派遣隊員のためにも、とにかく信じろと言ったんじゃい。)

 

アーヴィング議員

Your network provided that benefit without a blush.

(君らも深く追及はしなかったじゃないか。)

 

ジャニーン

We gave it to you.(確かに。)

 

アーヴィング議員

We both, Janine.  We both put our fighting men at risk.

Now, I've admitted my mistakes.  When will you?

(我々と君たち、政府とメディア両方が兵士を危機へ追いやった。

私は過ちを認めたぞ。君は?)

 

 

※windsock は「吹き流し」(鯉のぼりみたいなやつ)の事ですが、字幕では意味がわかりやすく伝わるように「風見鶏」と訳されてました。

「風見鶏」は英語で weathercock です。

 

※benefit of the doubt は「疑わしきは罰せず(被告有利に解釈)」の意。give the benefit of the doubt で「~を好意的に解釈する、~を大目にみる」

 

 

(シーン②)

憂う教授マレーの説教

 

マレー教授

Roma is burning, sun, and the problem is not with the people that started this.  They're past irredeemable.

The problem's with us,  all of us, who do nothing, who just fiddle, who try to maneuver around the edges of the flame.

And I'll tell you something, there are people out there fighting to make things better.

(いいか、国の存亡の危機だ。戦争を始めた奴らだけの問題じゃない。過去を修正する事はできない。我々みんなの、全員の問題なんだ。何もせずぶらぶらして、問題を外から見ているだけ?世界を良くしたいと戦っている者がいるのに?)

 

トッド

You think it's better to try and fail than fail to try?

(トライして失敗する方がしないよりもマシ?)

 

マレー教授

Yeah.(ああ、そうだ。)

 

トッド

But what if you end up in the same place?

(でも結果は同じでしょ。意味があるんですか?)

 

マレー教授

At least you did something.(行動はした。)